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低酸素誘導因子1(HIF-1)経路

Hypoxia-Inducible Factor 1 (HIF-1) Pathway

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Sci. STKE, 9 October 2007 Vol. 2007, Issue 407, p. cm8
[DOI: 10.1126/stke.4072007cm8]

Gregg L. Semenza*

Director, Vascular Biology Program, Institute for Cell Engineering; Professor, Departments of Pediatrics, Medicine, Oncology, Radiation Oncology, and the McKusick-Nathans Institute of Genetic Medicine, The Johns Hopkins University School of Medicine, Broadway Research Building, Suite 671, 733 North Broadway, Baltimore, MD 21205, USA.
*Corresponding author. E-mail, gsemenza@jhmi.edu

要約  低酸素誘導因子1(HIF-1)は、すべての後生動物に発現し、HIF-1αおよび HIF-1βサブユニットからなる、basic helix-loop-helix-PAS領域を持つ転写因子である。HIF-1は低酸素状態で何百もの遺伝子の転写を細胞特異的に調節する。HIF-1αサブユニットは、プロリン残基402、564または両方の酸素依存的水酸化、von Hippel-Lindau(VHL)結合を促進し、ユビキチン化およびプロテアゾーム分解を誘導するプロリン水酸化酵素ドメイン蛋白2(PHD2)、および300kDa共役因子蛋白(p300)およびCREB結合蛋白(CBP)の結合を阻害するHIF-1阻害因子(FIH-1)によるアスパラギン残基803の酸素依存的水酸化によって調節されている。酸素およびα-ケトグルタル酸を基質とし、二酸化炭素およびコハク酸を副産物とする水酸化反応が、細胞の酸素付加の変化をHIF-1活性の変化として核に導入する機序となっている。水酸化酵素活性は低濃度の酸素、高濃度のトリカルボン酸回路中間代謝物(イソクエン酸、オキサロ酢酸、コハク酸、フマル酸)または鉄(II)キレート剤の存在下で阻害される。活性化Cキナーゼ受容体1(RACK1)はHIF-1α結合に対し、熱ショック蛋白90(HSP90)と競合し、酸素非依存的ユビキチン化およびプロテアゾーム分解を媒介する。PHD2、VHL、FIH-1、RACK1またはHSP90とHIF-1αの物理的または機能的相互作用を調節することによりHIF-1活性を調節する蛋白および低分子が次々に同定されている。

G. L. Semenza, Hypoxia-Inducible Factor 1 (HIF-1) Pathway. Sci. STKE 2007, cm8 (2007).

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