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炎症
ショッキングな応答
Inflammation
Shocking Response
Sci. Signal., 26 November 2013
Vol. 6, Issue 303, p. ec286
[DOI: 10.1126/scisignal.2004940]
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
X. Qiang, W.-L. Yang, R. Wu, M. Zhou, A. Jacob, W. Dong, M. Kuncewitch, Y. Ji, H. Yang, H. Wang, J. Fujita, J. Nicastro, G. F. Coppa, K. J. Tracey, P. Wang, Cold-inducible RNA-binding protein (CIRP) triggers inflammatory responses in hemorrhagic shock and sepsis. Nat. Med. 19, 1489–1495 (2013). [PubMed]
P. A. Ward, An endogenous factor mediates shock-induced injury. Nat. Med. 19, 1368–1369 (2013). [PubMed]
Toll様受容体(TLR)を含むパターン認識受容体は、特定の感染性の微生物から放出される病原体関連分子パターン(PAMP)、ならびに損傷を受けた細胞またはアポトーシス性細胞から放出される損傷関連分子パターン(DAMP)によって活性化される(Wardによるcommentaryを参照のこと)。これらの分子は、敗血症または出血性ショック(血液量の損失)の患者において、全身性炎症につながる複数のシグナル伝達経路を刺激する。Qiangらは、健康なボランティアと比較して、出血性ショックの患者では、RNAシャペロンである低温誘導性RNA結合タンパク質(CIRP)の血中濃度が増加していることを見出した。出血性ショックを受けた後輸液により蘇生した場合、あるいは盲腸結紮穿刺を受けた(敗血症を誘導するため)場合、ラットは、対照と比較して、血清CIRP量の増加を示した。CIRPは、マクロファージによる炎症性サイトカイン腫瘍壊死因子-α(TNF-α)およびDAMP高移動度グループタンパク質B1(HMGB1)の放出をin vitroで刺激した。組換えCIRPをラットに投与すると、対照ラットと比較して、TNF-αおよびHMGB1の血中濃度が増加し、肝障害が引き起こされた。CIRP特異的な中和抗血清による処理を受けてから出血性ショックと輸液蘇生を受けた、あるいは盲腸結紮穿刺受けたラットでは、対照抗体による処理を受けたラットと比較して、全身性炎症が減少し、生存率が増加した。表面プラズモン共鳴分析から、CIRPがTLR4とその共受容体MD2に結合することが示された。TLR4欠損マウスに由来するマクロファージは、in vitroで、CIRPに対する炎症応答が低下しており、CIRPを投与されたTLR4欠損マウスは、投与された野生型マウスと比較して、炎症性サイトカインの血中濃度が低下していた。合わせると、これらのデータから、CIRPは、出血性および敗血性ショックに応答して放出される内因性DAMPであり、マクロファージにおけるTLR4との相互作用を通して全身性炎症を刺激することが示唆される。
J. F. Foley, Shocking Response. Sci. Signal. 6, ec286 (2013).