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免疫学
マクロファージの鉄問題を解決する

Immunology
Ironing Out Macrophages

Editor's Choice

Sci. Signal., 29 April 2014
Vol. 7, Issue 323, p. ec112
[DOI: 10.1126/scisignal.2005415]

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

D.-K. Kim, J.-H. Jeong, J.-M. Lee, K. S. Kim, S.-H. Park, Y. D. Kim, M. Koh, M. Shin, Y. S. Jung, H.-S. Kim, T.-H. Lee, B.-C. Oh, J. I. Kim, H. T. Park, W.-I. Jeong, C.-H. Lee, S. B. Park, J.-J. Min, S.-I. Jung, S.-Y. Choi, H. E. Choy, H.-S. Choi, Inverse agonist of estrogen-related receptor γcontrols Salmonella typhimurium infection by modulating host iron homeostasis. Nat. Med. 20, 419–424 (2014).[PubMed]

K. L. Lokken, R. M. Tsolis, A. J Bäumler, Hypoferremia of infection: A double-edged sword? Nat. Med. 20, 335–337 (2014). [PubMed]

血清中の鉄の減少(低鉄血症)は、感染中に細胞外細菌の成長を抑制するための、一般的な宿主防御機構である(Lokkenら参照)。ペプチドホルモンヘプシジンは、肝臓で産生され、鉄チャネルフェロポーチンの分解を刺激して食餌性鉄の取り込みと赤血球を再利用するマクロファージによる血流への鉄の放出の両方を低下させることで、低鉄血症を促進する。鉄の血清濃度が低下するにつれ、鉄は肝臓および脾臓のマクロファージに集まる。Kimらは、細胞内病原体ネズミチフス菌(Salmonella enterica var. Typhimurium:S. typhimurium)がこのシステムを利用し、マクロファージ内で増殖することを報告している。ネズミチフス菌感染は、宿主に炎症性サイトカインインターロイキン-6(IL-6)を産生させ、これにより、IL-6受容体下流のJanusキナーゼシグナル伝達性転写因子(JAK-STAT)シグナル伝達が活性化される。様々なノックアウトマウス、in vivo過剰発現法、およびラット初代培養肝細胞を用いた実験から、ネズミチフス菌感染により誘導されたIL-6が、肝細胞において転写因子STAT3を活性化させることが実証された。活性化されたSTAT3は、エストロゲン関連受容体γ(ERRγ)をコードする遺伝子の発現を直接刺激した。これにより、今度は、ヘプシジンをコードする遺伝子の転写が直接刺激された。ネズミチフス菌の抗菌薬耐性株による感染の前と感染中に、マウスにERRγインバースアゴニストGSK5182を注入すると、肝臓における鉄濃度および細菌数の減少、血清低鉄血症の緩和、生存の亢進がもたらされた。この研究は、ERRγの影響を受ける代謝過程のリストに鉄ホメオスタシスを追加するだけでなく、IL-6誘導性低鉄血症のためにマクロファージで生じる鉄の蓄積を予防または反転することが、ネズミチフス菌および他の細胞内病原体による感染を治療する方法かもしれないことが示唆される。

A. M. VanHook, Ironing Out Macrophages. Sci. Signal. 7, ec112 (2014).

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