- ホーム
- 神経変性 ALSとパーキンソン病はマイトファジーで交わる
神経変性
ALSとパーキンソン病はマイトファジーで交わる
Neurodegeneration
ALS and Parkinson’s Disease Meet at Mitophagy
Sci. Signal., 4 November 2014
Vol. 7, Issue 350, p. ec309
DOI: 10.1126/scisignal.aaa2036
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
Y. C. Wong, E. L. F. Holzbaur, Optineurin is an autophagy receptor for damaged mitochondria in parkin-mediated mitophagy that is disrupted by an ALS-linked mutation. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 111, E4439-E4448 (2014). [Abstract] [Full Text]
要約 オートファジーは、不要なまたは機能不全に陥った細胞内成分を、オートファゴソームと呼ばれる特化したリソソームの活性によって分解する、品質管理経路である。損傷したミトコンドリアの排除(マイトファジーと呼ばれる)は、E3ユビキチンリガーゼであるパーキンよって仲介される。パーキンはユビキチンをミトコンドリア外膜タンパク質に沈着させることによって、この細胞内小器官を分解の標的にする。機能不全に陥ったミトコンドリアの排除の障害は、パーキンソン病に関与している。ミトコンドリア機能不全は、オプチニューリン(OPTN)の変異に関連する神経変性疾患である、筋萎縮性側索硬化症(ALS)にも関与している。OPTNは、ユビキチンと、オートファゴソームの微小管関連タンパク質LC3に結合するタンパク質である。HeLa細胞の生細胞イメージングを用いて、WongとHolzbaurは、OPTNがパーキンを介するマイトファジーにきわめて重要であることを見出した。黄色蛍光タンパク質(YFP)標識したパーキンを発現し、ミトコンドリア脱分極剤(損傷剤)であるカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で処理された細胞においては、内因性OPTNがミトコンドリアの断片を取り囲んだ。YFP-パーキンと緑色蛍光タンパク質(GFP)標識OPTNとを共発現している細胞の生細胞イメージングでは、CCCPによって、最初にYFP-パーキン、続いてGFP-OPTNのミトコンドリアへの動員が誘導された。触媒的に不活性なパーキン変異体(T240R)の発現によって、OPTNのミトコンドリアへの動員が消失した。ALSに関連するOPTN変異体は、ユビキチン結合ドメインに点突然変異(E478G)を有する。YFP-パーキンを発現している、CCCPで処理されたHeLa細胞において、GFP-OPTNE478Gは、パーキンの動員にもかかわらず、損傷したミトコンドリアの表面に動員されなかった。OPTNをノックダウンすると、損傷したミトコンドリアのオートファゴソームによる貪食が阻害された。オートファゴソームによるミトコンドリア貪食は、野生型OPTNの発現によってレスキューされたが、ALS関連UBAN変異体またはLC3に結合できない変異体の発現によってはレスキューされなかった。このように、2つの異なる神経変性疾患が、マイトファジーの異常によって引き起こされる可能性がある。
L. K. Ferrarelli, ALS and Parkinson's Disease Meet at Mitophagy. Sci. Signal. 7, ec309 (2014).