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生理学
線維症を予防するためにTGF-βシグナル伝達を制限する

Physiology
Limiting TGF-β signaling to prevent fibrosis

Editor's Choice

Sci. Signal., 17 February 2015
Vol. 8, Issue 364, p. ec34
DOI: 10.1126/scisignal.aaa9108

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

K. Palumbo-Zerr, P. Zerr, A. Distler, J. Fliehr, R. Mancuso, J. Huang, D. Mielenz, M. Tomcik, B. G. Fürnrohr, C. Scholtysek, C. Dees, C. Beyer, G. Krönke, D. Metzger, O. Distler, G. Schett, J. H. W. Distler, Orphan nuclear receptor NR4A1 regulates transforming growth factor-β signaling and fibrosis. Nat. Med. 21, 150–158 (2015). [PubMed]

要約  線維症は、創傷治癒後にトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達が減弱されず、線維芽細胞が活性化されたままである場合に発症し、組織に瘢痕を残す。創傷治癒後にTGF-βシグナル伝達を遮断し、この経路を全般的に抑制する機序は、まだ十分に理解されていない。Palumbo-Zerrらは、全身性硬化症を有する患者の線維性の皮膚および構成的活性型TGF-β受容体I型(TBRI)を過剰発現する線維症モデルマウスの皮膚で、オーファン受容体NR4A1(核内受容体4A1)の存在量がmRNAおよびタンパク質レベルで増加していることに注目した。TGF-βは、転写エフェクターSMAD3、SMAD4、SP1を含む複合体を通じてNR4A1の発現亢進を刺激した。全体的なNr4a1欠損によってTGF-β標的遺伝子の発現が亢進され、TBRI過剰発現マウスはもとより、ブレオマイシンによって誘発された肺線維症などの他の線維症モデルマウスでも、線維症が促進された。Nr4a1-/-線維芽細胞では野生型線維芽細胞に比べて、TGF-βに応答してより多くのコラーゲンが堆積し、筋線維芽細胞の分化マーカーがより多く発現された。TGF-βは、I型コラーゲンをコードするCOL1A1のプロモーターのSP1結合部位におけるNR4A1のSP1への結合を引き起こした。COL1A1などのTGF-β標的遺伝子のNR4A1を介した抑制は、転写共役制御因子SIN3A(swi-independent-3 transcription regulator A)およびREST共役制御因子1、ヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1)、またはリジン特異的脱メチル化酵素1A(KDM1A、別名LSD1)のノックダウンによって減弱された。Ser351のリン酸化はNR4A1を阻害し、線維化したヒト皮膚標本のほうが正常なヒト皮膚標本よりもSer351のリン酸化が進んでいた。NR4A1のリン酸化は、慢性的にTGF-βに曝露された線維芽細胞およびTBRI過剰発現マウスの皮膚でも経時的に増加し、この作用には多様なヒストン脱アセチル化酵素とAKTが必要であった。リン酸化されたNR4A1はSP1に結合しなかった。NR4A1アゴニストのCsn-BはTGF-β標的遺伝子の発現を減少させ、TBRI発現過剰マウスの皮膚線維症やブレオマイシン処理マウスの肺線維症のほか、その他のモデルマウスの線維症も緩和させた。このように、TGF-βシグナル伝達は抑制因子をコードする遺伝子の発現を亢進するが、この負のフィードバックループは線維性疾患では減弱されている。

W. Wong, Limiting TGF-β signaling to prevent fibrosis. Sci. Signal. 8, ec34 (2015).

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2015年2月17日号

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