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免疫学
SUMOがPKCを免疫シナプスに導く
IMMUNOLOGY
SUMO wrestles PKC to the immunological synapse
Sci. Signal. 27 Oct 2015:
Vol. 8, Issue 400, pp. ec307
DOI: 10.1126/scisignal.aad7107
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
X.-D. Wang, Y. Gong, Z.-L. Chen, B.-N. Gong, J.-J. Xie, C.-Q. Zhong, Q.-L. Wang, L.-H. Diao, A. Xu, J. Han, A. Altman, Y. Li, TCR-induced sumoylation of the kinase PKC-θ controls T cell synapse organization and T cell activation. Nat. Immunol. 16, 1195-1203 (2015). [PubMed]
T細胞表面上のT細胞受容体(TCR)が、抗原提示細胞(APC)表面上の主要組織適合複合体に結合しているペプチド抗原と結合したとき、細胞間の接触面に免疫シナプスに形成される。免疫シナプスの中心領域は、共受容体CD28およびプロテインキナーゼC θ(PKCθ)を豊富に含むリングで囲まれた、シグナル伝達TCRのクラスターで構成されている。T細胞の活性化および増殖には免疫シナプスの形成が不可欠である。Wangらは、CD4+ T細胞中のPKCθがTCRおよびCD28の刺激に応答して、SUMO1(低分子ユビキチン様修飾因子1)による翻訳後修飾を受けることを見いだした。質量分析から、PKCθのLys325およびLys506が主要なSUMO化残基であり、この両方の部位をアルギニンに変異させたPKCθ[PKCθ(2KR)]突然変異体は、トランスフェクトしたT細胞においてTCR刺激によるSUMO化を受けないことが明らかになった。レトロウイルスによりPKCθ(2KR)を使って再構築したPKCθ欠損マウスCD4+ T細胞では、刺激に応答した活性化マーカーの発現が障害され、増殖が抑制されていた。In vitroキナーゼアッセイから、PKCθ(2KR)のSUMO化の欠如はその触媒活性に影響しないことが示された。PKCθおよびSUMO化E3リガーゼPIASxβは、刺激された初代ヒトCD4+ T細胞から免疫共沈降した。顕微鏡解析から、野生型CD4+ T細胞と抗原を取り込んだAPCをインキュベーションしたとき、PKCθおよびPIASxβが免疫シナプスに動員されることが示された。トランスフェクトしたT細胞を刺激したときにも免疫シナプスにPKCθ(2KR)が動員されたが、TCRを囲むリング中のCD28とは局在化せず、比較的びまん性に分布した。このようなびまん性のPKCθパターンは、PIASxβをノックアウトした野生型CD4+ T細胞を刺激した際にも認められた。さらに、PKCθのSUMO化を遮断したとき、TCR刺激によるPKCθ、CD28およびアクチン結合タンパク質フィラミンAの間の相互作用、ならびに免疫シナプスにおけるフィラミンAの局在化が乱された。まとめると、これらの結果は、安定した免疫シナプスの形成および効果的なTCRシグナル伝達のためには、TCR刺激によるPKCθのSUMO化が必要であることを示唆している。