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パーキンソン病
ジスキネジアのより良い治療

PARKINSON’S DISEASE
Better treatment for dyskinesia

Editor's Choice

Sci. Signal. 24 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 404, pp. ec344
DOI: 10.1126/scisignal.aad9141

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

W. Shen, J. L. Plotkin, V. Francardo, W. K. D. Ko, Z. Xie, Q. Li, T. Fieblinger, J. Wess, R. R. Neubig, C. W. Lindsley, P. J. Conn, P. Greengard, E. Bezard, M. A. Cenci, D. J. Surmeier, M4 muscarinic receptor signaling ameliorates striatal plasticity deficits in models of L-DOPA-induced dyskinesia. Neuron 88, 762–773 (2015). [PubMed]

目標指向運動は主に、直接路有棘ニューロン(dSPN)を含む線条体中の神経回路を通じて制御され、バランスのとれたコリン作動性入力とドーパミン作動性入力を必要とする。この回路のドーパミン作動性ニューロンの欠損によりパーキンソン病に至り、これはドーパミン前駆体であるL-DOPAを投与し、残存ニューロンからのドーパミン放出を亢進させることで治療される。しかし残念ながら、L-DOPA投与自体がジスキネジアを生じさせる。Shenらは、(i)直接路の有棘ニューロン(dSPN)におけるムスカリン作動性アセチルコリン4型受容体(M4R)を介したシグナル伝達が、特異的な型の長期増強(LTP)を抑制し長期抑圧(LTD)を促進する、および(ii)M4R活性を薬理学的に亢進することで、パーキンソン病のげっ歯類および霊長類モデルにおけるL-DOPA誘発性ジスキネジア(LID)を低減しうる、という仮説を検証した。dSPNはドーパミン作動性、コリン作動性およびグルタミン酸作動性入力を受けている。dSPNの正確な特定を可能にするトランスジェニックマウスを用いた電気生理学的実験から、ドーパミン1型受容体(D1R)の薬理学的阻害によりdSPNのLTDが可能になること、さらにM4Rアンタゴニストの同時投与によりLTDが遮断されることが示された。D1Rを阻害しない場合でも、M4Rのアロステリックアゴニスト(内因性に放出されたアセチルコリンに対する応答を亢進するが、受容体を直接刺激しない)存在下での長時間の反復刺激に応答し、LTDが生じた。したがって、M4Rシグナル伝達の亢進は、dSPNにおけるD1Rシグナル伝達を圧倒する可能性がある。dSPNのM4Rを欠損させた遺伝子組換えマウスを用いた実験を繰り返し、この受容体が後シナプスで機能し、LTDを促進することを確認した。M4Rアロステリックアゴニストは、dSPNの樹状突起スパインにおけるグルタミン酸の放出やD1Rアゴニストの曝露(グルタミン作動性とドーパミン作動性の同時入力を模倣するため)で誘導されるカルシウムシグナルを低下させた。電気生理学研究から、M4R活性はLTPの誘導を妨げ、「脱増強(depotentiation)」と呼ばれるプロセスを介してLTPを元に戻すことが明らかとなっている。まとめると、これらのデータは、M4R活性の亢進はD1Rを介するドーパミン作動性シグナル伝達を阻害し、それによりdSPN活性を低下させることを示していた。LIDのマウスモデルにおいて、スライス標本に対するM4Rアロステリックアゴニストの添加は、LTPの誘発を抑制して脱増強を可能にすることで、dSPNにおけるシナプス可塑性およびその制御を回復した。マウスまたは非ヒト霊長類のパーキンソン病モデルにM4Rアロステリックアゴニストを投与したとき、L-DOPAにより誘発されるジスキネジアが抑制された。このことは、M4R経路の亢進が、L-DOPA治療のネガティブ効果を抑制するための治療戦略になる可能性を示唆している。

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2015年11月24日号

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ジスキネジアのより良い治療

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