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アストロサイトが記憶形成を助ける

Astrocytes help make memories

Editor's Choice

Sci. Signal. 31 May 2016:
Vol. 9, Issue 430, pp. ec126
DOI: 10.1126/scisignal.aag2272

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Pabst, O. Braganza, H. Dannenberg, W. Hu, L. Pothmann, J. Rosen, I. Mody, K. van Loo, K. Deisseroth, A. J. Becker, S. Schoch, H. Beck, Astrocyte intermediaries of septal cholinergic modulation in the hippocampus. Neuron 90, 853–865 (2016). [PubMed]

要約  海馬は記憶形成に必須である。(学習のように)新たな経験に応答して記憶を形成するには、干渉を避けるため過去の記憶の想起を若干抑制する必要がある。動物が新しい経験をするとき海馬でアセチルコリン(ACh)が放出され、コリン作動性シグナル伝達を阻害することで記憶形成が障害される。アストロサイトは中枢神経系において、神経伝達物質であるグルタミン酸の放出をはじめとして種々の働きをしている。Pabstらは、アストロサイトが海馬において、コリン作動性入力を抑制性介在ニューロンのグルタミン作動性活性化に変換することで、体験学習を促進することを見いだした。マウスまたは海馬スライスを光遺伝学的に刺激して電気生理学的解析を行ったところ、チャネルロドプシン-2を発現している中隔ニューロンからのACh放出は、海馬門の抑制性介在ニューロンおよび苔状細胞の活性化並びに海馬歯状回顆粒細胞の過分極(抑制)を誘導することが明らかにされた。薬理学的アンタゴニストにより、中隔投射ニューロン、介在ニューロンおよび歯状回顆粒細胞の間のこのような影響に、コリン作動性およびγ-アミノ酪酸(GABA)シグナル伝達が働いていることが確認され、グルタミン作動性のリレーがこの回路を介していることが示唆された。海馬における光遺伝学的誘発性のACh放出は、海馬門のアストロサイトのニコチン性AChおよびCa2+依存的活性化を誘発し、一方で、様々な手段によるアストログリア活性の阻害は、その後の海馬門介在ニューロンの活性化および海馬歯状回顆粒細胞の抑制を阻害した。これらの結果は、in vivoにおいてアストロサイトは神経回路の仲介役として働き、記憶形成および学習を促進することを示唆している。

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2016年5月31日号

Editor's Choice

アストロサイトが記憶形成を助ける

Research Article

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