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ハイライト:チリダニによる喘息の発症を阻止する新たな方法

Highlight: A new way to block the development of asthma from dust mites

Editor's Choice

Sci. Signal. 18 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 475, eaan3693
DOI: 10.1126/scisignal.aan3693

Michael Yaffe

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA; David H. Koch Institute for Integrative Cancer Research, MIT, Cambridge, MA 02139, USA

L. Sun, X. Ren, I.-C. Wang, A. Pradhan, Y. Zhang, H. M. Flood, B. Han, J. A. Whitsett, T. V. Kalin, V. V.Kalinichenko, The FOXM1 inhibitor RCM-1 suppresses goblet cell metaplasia and prevents IL-13 and STAT6 signaling in allergen-exposed mice. Sci. Signal. 10, eaai8583 (2017).

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通常は「創薬が困難」であると考えられている転写因子を標的とすることにより、喘息の発症が予防される可能性がある。

要約

通常小児期に発症する炎症性気道疾患である喘息が、都心部の住民において診断されることが増えている。分解するチリダニから生じる空中アレルゲンへの曝露が、喘息の発症に寄与する主要な因子と考えられている。Science Signaling今週号では、Sun らが、喘息発症に伴う重要な細胞変化を制御する転写因子であり、一般的に「創薬が困難」と考えられる広い分子群に属する、FOXM1の低分子阻害剤を同定した。ヒトFOXM1 遺伝子を同定した今は亡き科学者Robert CostaにちなんでRCM-1と命名されたこの薬剤は、チリダニ抽出物またはインターロイキン-13(喘息の病因に中心的役割を果たす炎症性サイトカイン)に曝露したマウスに認められる、肺でのサイトカイン産生を著しく低下させ、気道粘液貯留を抑制し、肺組織の変化と気管支周囲腔への炎症細胞浸潤の両方を顕著に改善させた。この薬剤、またはこれを最適化したものが、喘息の初期にある患者に直接的な効果をもたらす可能性があり、この研究では、転写因子などの「創薬が困難」な標的を標的化することは可能であり有望でもあるという、明確な証拠が示されている。

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2017年4月18日号

Editor's Choice

ハイライト:チリダニによる喘息の発症を阻止する新たな方法

Research Article

FOXM1阻害因子RCM-1はアレルゲンに曝露されたマウスにおいて杯細胞の異形成を抑制し、IL-13とSTAT6のシグナル伝達を妨げる

カリウムの恒常性制御は枯草菌における二次メッセンジャー、サイクリック-ジAMPの必須機能である

キナーゼTPL2がERKとp38のシグナル伝達を活性化し、好中球性炎症を促進する

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