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アクティブライフ、アクティブな抗腫瘍防御
Active life, active antitumor defense
Sci. Signal. 25 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 476, eaan4822
DOI: 10.1126/scisignal.aan4822
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
Y. Song, Y. Gan, Q. Wang, Z. Meng, G. Li, Y. Shen, Y. Wu, P. Li, M. Yao, J. Gu, H. Tu, Enriching the housing environment for mice enhances their NK cell antitumor immunity via sympathetic nerve-dependent regulation of NKG2D and CCR5. Cancer Res. 77, 1611-1622 (2017).
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マウスにおける活動的な生活習慣は、抗腫瘍性ナチュラルキラー細胞の機能を亢進する神経系のアドレナリン作動性シグナル伝達を刺激する。
要約
運動はがんを予防し、身体的、精神的および社会的に活動的な生活習慣は、がん患者の高い生存率と関連すると考えられている。がん研究には一般的にマウスが用いられているが、その飼育状況は概して厳しい。Song らは、飼育環境を豊かにして感覚、認知、運動および社会的刺激を与えることで、神経系と免疫系との関連を介して宿主の抗腫瘍反応が改善しことを見出した。交感神経系は、脳とともに心拍の加速および気管支拡張など内臓機能の「無意識の」変化を調整する、感覚神経と運動神経から構成される。マウスを用いた種々の遺伝学的および薬理学的アプローチから、交感神経における活動依存的なアドレナリン作動性シグナル伝達は、ナチュラルキラー(NK)細胞においてその走化性および細胞溶解機能を促進する遺伝子(細胞表面受容体であるNKG2DおよびCCR5をコードするもの)の発現を特異的に誘導し、マウスにおける膵および肺腫瘍の増生を抑制するほか、メラノーマ細胞の転移性増殖も抑制することが明らかにされた。NK細胞は自然免疫防御の重要な構成要素である。交感神経がNK細胞の遺伝子発現をどのように刺激するかは不明であるが、これらの所見は、活動性と腫瘍抑制の間の分子や細胞の関連を知る手掛かりとなり、患者に対する免疫賦活化治療戦略につながる可能性がある。