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上皮細胞は異常な隣接細胞を拒絶する

Epithelial cells reject abnormal neighbors

Editor's Choice

Sci. Signal. 09 May 2017:
Vol. 10, Issue 478, eaan5866
DOI: 10.1126/scisignal.aan5866

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. Kon, K. Ishibashi, H. Katoh, S. Kitamoto, T. Shirai, S. Tanaka, M. Kajita, S. Ishikawa, H. Yamauchi, Y.Yako, T. Kamasaki, T. Matsumoto, H. Watanabe, R. Egami, A. Sasaki, A. Nishikawa, I. Kameda, T.Maruyama, R. Narumi, T. Morita, Y. Sasaki, R. Enoki, S. Honma, H. Imamura, M. Oshima, T. Soga, J.Miyazaki, M. R. Duchen, J.-M. Nam, Y. Onodera, S. Yoshioka, J. Kikuta, M. Ishii, M. Imajo, E. Nishida, Y.Fujioka, Y. Ohba, T. Sato, Y. Fujita, Cell competition with normal epithelial cells promotes apical extrusion of transformed cells through metabolic changes. Nat. Cell Biol. 19, 530-541 (2017). Google Scholar

J. L. Coloff, J. S. Brugge, Metabolic changes promote rejection of oncogenic cells. Nat. Cell Biol. 19, 414-415 (2017). Google Scholar

正常な上皮細胞は、隣接する形質転換細胞に代謝変化を誘導し、上皮から追い出す。

要約
上皮の恒常性を維持するために、細胞が損傷を受けたまたは死に瀕しているとき、あるいは上皮があまりにも混雑したときには、その細胞が頂端側で上皮層から押し出される。押し出された細胞がまだアポトーシスを開始していない場合は、付着の喪失により、アノイキスと呼ばれるもう1つの形のプログラム細胞死を起こす。正常な上皮細胞は、形質転換細胞を上皮から追い出す能力も有し、この過程はEDAC(epithelial defense against cancer)と呼ばれ、正常細胞における形質転換細胞と接する部位でのアクチン結合タンパク質フィラミンの蓄積と、形質転換細胞におけるアクチン結合タンパク質EPLIN(epithelial protein lost in neoplasm)の蓄積を伴う。Konらは、EDACの重要な部分は、正常細胞が形質転換細胞において代謝変化を誘導する能力であることを見出した。発がんタンパク質H-RasV12 を発現するMDCK細胞を、正常MDCK細胞と培養すると、H-RasV12発現細胞は上皮から押し出され、ミトコンドリア活性の低下を示し、グルコース取り込みが増加したことにより、ミトコンドリアの酸化的リン酸化から、細胞質で発生する解糖への、代謝の変化が示された。この過程には、形質転換細胞のEPLINと、酸化的リン酸化を阻害するピルビン酸脱水素酵素キナーゼ4(PDK4)、さらには周囲の正常細胞のフィラミンが必要であった。培養液をヘキソキナーゼ阻害剤で処理することにより解糖を抑制すると、形質転換細胞の押し出しが減少したことから、解糖の増加によりそれらの排出が促進されたことが示された。細胞培養実験の主要な結果は、腸上皮にH-RasV12 をモザイク状に発現するマウスのin vivoモデルと、これらのマウスに由来する腸オルガノイドにおいて再現された。ColoffとBruggeによる解説記事では、形質転換細胞の排出を促進するEDACの解糖表現型と、高い解糖速度がもたらす既知の腫瘍形成促進作用(ワールブルク効果)との明らかな矛盾が検討されている。

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