FXSの治療法?

A therapy for FXS?

Editor's Choice

Sci. Signal. 04 Jul 2017:
Vol. 10, Issue 486, eaao2238
DOI: 10.1126/scisignal.aao2238

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

I. Gantois, A. Khoutorsky, J. Popic, A. Aguilar-Valles, E. Freemantle, R. Cao, V. Sharma, T. Pooters, A.Nagpal, A. Skalecka, V. T. Truong, S. Wiebe, I. A. Groves, S. M. Jafarnejad, C. Chapat, E. A. McCullagh, K.Gamache, K. Nader, J.-C. Lacaille, C. G. Gkogkas, N. Sonenberg, Metformin ameliorates core deficits in a mouse model of fragile X syndrome. Nat. Med. 23, 674-677(2017). Google Scholar

抗糖尿病薬メトホルミンは脆弱X症候群の患者の治療にも使用できる可能性がある。

要約
脆弱X症候群(FXS)は、単一遺伝子性の疾患であり、学習障害と自閉症スペクトラム症の最も高頻度にみられる原因である。FXSを引き起こすX染色体上のFMR1の発現欠損はmRNA翻訳量の増加をもたらし、これが神経の発達を障害する。現在のところ、FXSの治療法はない。Gantoisらは、II型糖尿病治療薬として小児と成人に広く処方されており、血液脳関門を通過するメトホルミンが、マウスモデルにおいてFXSの多様な神経学的表現型と行動学的表現型を是正することを発見した。Fmr1−/yマウスでは、キナーゼRAFの存在量が増加しており、その下流のキナーゼと遺伝子標的の活性が亢進されている。長期(10日間)のメトホルミン処置によって、Fmr1−/yマウスの前頭前野と海馬でRAF存在量が減少し、下流シグナル伝達構成要素(キナーゼMEK、ERK、mTOR)と翻訳開始因子eIF4Eの活性化が抑制された。mTOR活性の低下は、シナプス機能を調節するプロテアーゼMMP9をコードする遺伝子の発現量の減少と相関した。メトホルミンはFmr1−/yマウスにおいて、FXS患者に多くみられる表現型である反復行動、巨精巣症の発生、樹状突起棘の発達異常、シナプス活性の欠損を抑制した。メトホルミンによって哺乳類でも認知機能を特異的に改善できるかどうか(FXSのハエモデルでは改善される)を評価し、その利益の程度と副作用(多く存在する)の程度を比較するには、さらなる検証が必要ではあるが、今回の知見は、メトホルミンをFXS患者にも使用できる可能性を示唆している。

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2017年7月4日号

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FXSの治療法?

Research Article

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