• ホーム
  • 新たなつながり:間質を通して腫瘍を理解する

新たなつながり:間質を通して腫瘍を理解する

New connections: Understanding the tumor through the stroma

Editor's Choice

Sci. Signal. 08 Aug 2017:
Vol. 10, Issue 491, eaao5803
DOI: 10.1126/scisignal.aao5803

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

C. Ostalecki, J.-H. Lee, J. Dindorf, L. Collenburg, S. Schierer, B. Simon, S. Schliep, E. Kremmer, G. Schuler,A. S. Baur, Multiepitope tissue analysis reveals SPPL3-mediated ADAM10 activation as a key step in the transformation of melanocytes. Sci. Signal. 10, eaai8288 (2017). Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

X. Wang, A. D. Mooradian, P. Erdmann-Gilmore, Q. Zhang, R. Viner, S. R. Davies, K.-L. Huang, R.Bomgarden, B. A. Van Tine, J. Shao, L. Ding, S. Li, M. J. Ellis, J. C. Rogers, R. R. Townsend, D. Fenyö, J. M.Held, Breast tumors educate the proteome of stromal tissue in an individualized but coordinated manner. Sci. Signal. 10, eaam8065 (2017). Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

L. K. Ferrarelli, N. R. Gough, Focus Issue: Cancer-Beyond tumor genetics to protein landscapes. Sci. Signal. 10, eaan0430 (2017). Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

腫瘍間質中のタンパク質およびシグナル伝達レベルでの変化を評価することで、がん患者のための有効な治療標的が明らかになるかもしれない。

要約
腫瘍のゲノムプロファイリングは、がんの「ドライバー」を検出し治療戦略の方向づけをするための一般的かつ費用対効果が高まっている手法であるが、タンパク質レベルの変化(転写後活性化など)を単独では検出できないことから、このアプローチは治療の成功に重要と考えられる腫瘍微小環境に関する情報を欠いている(Ferrarelli and Gough参照)。本誌に発表された2報の論文は、腫瘍のタンパク質というランドスケープで生じている変化のみでなく、腫瘍微小環境のタンパク質プロファイルで生じている変化の検討をも試みている。本号においてWangらは、腫瘍間質プロテオームをプロファイリングした。著者らは患者由来の乳がんをマウスの皮下で増殖させ、腫瘍(ヒト)と腫瘍に付随した間質(マウス)の動物種に特徴的なプロテオミクスプロファイルを入手した。その結果、すべての乳がんは間質プロテオームのクラスター化サブセット、特に免疫シグナル伝達に関与するタンパク質を一貫して変化させるが、これらはサブタイプおよびステージ特異的に異なっていることを見出した。これらの所見は治療の層別化に関係している可能性があり、この実験モデル並びに大規模なタンパク質レベルでの腫瘍-間質相互作用を理解する基盤となるプラットフォームを提供している。OstaleckiらはArchivesで、メラノーマのタンパク質ドライバーと、周囲のケラチノサイトに対するその作用をマッピングした。著者らはヒト皮膚検体にマルチエピトープリガンド地図作成法を用い、メラノーマ発症の種々の段階と関連する、メラノサイトとケラチノサイト中のタンパク質存在量および細胞内分布の変化を特定した。これらの結果は、早期BRAF-変異/PTEN-欠損メラノーマ細胞からのペプチダーゼ-メタロプロテアーゼ対が、細胞間接触を通じ隣接する正常ケラチノサイトへの移動したことを明らかにした。レシピエントであるケラチノサイトではタンパク質の存在量と分泌が変化していた。まとめるとこれらの所見は、腫瘍と間質の間の細胞間コミュニケーション、及びがん患者においてそれがどのように治療標的になりえるかを解明することに寄与する。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年8月8日号

Editor's Choice

新たなつながり:間質を通して腫瘍を理解する

Research Article

チロシンホスファターゼSHP-1は免疫シナプスにおいてアダプタータンパク質CrkIIを活性化することによってT細胞接着を促進する

TRIF依存性のToll様受容体シグナル伝達は肝細胞におけるScd1転写を抑制し、食餌誘発性脂肪肝を予防する

Research Resources

乳がんは個別的かつ協調的に間質組織のプロテオームを教育する

最新のEditor's Choice記事

2017年10月31日号

蠕虫に対する内因性防御

2017年10月24日号

膵がんの超抑制因子

2017年10月17日号

エキソソームによるインスリン感受性の調整

2017年10月10日号

新たなつながり:妊娠特異的なシグナル伝達

2017年10月3日号

病原体に誘導されるミトコンドリアの断片化