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ウイルスによって強化された免疫療法

Virally enhanced immunotherapy

Editor's Choice

Sci. Signal. 22 Aug 2017:
Vol. 10, Issue 493, eaao7014
DOI: 10.1126/scisignal.aao7014

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

D. Saha, R. L. Martuza, S. D. Rabkin, Macrophage polarization contributes to glioblastoma eradication by combination immunovirotherapy and immune checkpoint blockade. Cancer Cell 32, 253-267.e5 (2017). Google Scholar

J. C. Bell, C. S. Ilkow, A viro-immunotherapy triple play for the treatment of glioblastoma. Cancer Cell 32,133-134 (2017). Google Scholar

免疫療法を腫瘍標的ウイルスと併用する戦略が、神経膠芽腫患者に対する新たな治療選択肢となる可能性がある。

要約
免疫療法はいくつかのがんに有効であるが、効果を持続させるためには併用療法が必要となる場合が多い。神経膠芽腫は、治療や研究が困難な疾患である。Sahaらは、2種類の神経膠芽腫マウスモデルにおいて併用療法を検討し、改変した腫瘍溶解性ウイルスと2種類の免疫チェックポイント阻害抗体を用いる3剤併用のみが、持続的な抗腫瘍効果を示すことを見出した(BellとIlkowも参照)。著者らは、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス(oHSV)を改変してサイトカインのインターロイキン-12を発現させた。このサイトカインは、全身投与されると毒性を示すが、ウイルスは腫瘍細胞でのみ複製する。したがってこの方法では、サイトカインの産生が腫瘍に限定される。このウイルスを、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)に対する抗体およびプログラム死受容体1(PD-1)に対する抗体と併用すると、持続的な腫瘍退縮と宿主生存が得られた。この3剤併用により、マクロファージの腫瘍浸潤とM1(古典的に活性化)表現型への極性化が刺激され、エフェクターT(Teff)細胞の制御性T(Treg)細胞に対する比が上昇し、CD4+およびCD8+ T細胞による腫瘍細胞殺傷が促進された。処理マウスでは、追加の腫瘍細胞移植による再負荷の際に、抗腫瘍免疫が認められた。これらの結果は、神経膠芽腫患者に対する高度な標的化の可能性を秘めた治療法を明らかにしている。

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2017年8月22日号

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