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新たなつながり:プレイオトロフィンと神経膠腫

New connections: Pleiotrophin and glioma

Editor's Choice

Sci. Signal. 05 Sep 2017:
Vol. 10, Issue 495, eaap8372
DOI: 10.1126/scisignal.aap8372

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

E. Y. Qin, D. D. Cooper, K. L. Abbott, J. Lennon, S. Nagaraja, A. Mackay, C. Jones, H. Vogel, P. K. Jackson,M. Monje, Neural precursor-derived pleiotrophin mediates subventricular zone invasion by glioma. Cell170, 845-859.e19 (2017). Google Scholar

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L. Zhang, S. Kundu, T. Feenstra, X. Li, C. Jin, L. Laaniste, T. E. A. El Hassan, K. E. Ohlin, D. Yu, T. Olofsson,A.-K. Olsson, F. Pontén, P. U. Magnusson, K. F. Nilsson, M. Essand, A. Smits, L. C. Dieterich, A. Dimberg,Pleiotrophin promotes vascular abnormalization in gliomas and correlates with poor survival in patients with astrocytomas. Sci. Signal. 8, ra125 (2015). Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

サイトカインのプレイオトロフィンは、神経膠腫の浸潤と血管新生を促進する。

要約
神経膠腫の発症を誘因し、進行を促進するシグナル伝達経路を理解することで、神経膠腫の予後を改善する新たな治療戦略が得られる可能性がある。2報の論文で、サイトカインのプレイオトロフィンを標的にすることによって神経膠腫の致死性に寄与する多様な過程を抑制できる可能性があることが示唆されている。Qinら(Guttmanも参照)は、特定の神経膠腫サブタイプとの共培養系での浸潤パターンを再現するマウスモデルを用いて、3つの結合パートナー(SPARC、SPARCL1、HSP90B)と複合体を形成したプレイオトロフィンが、神経前駆細胞から分泌され、神経膠腫細胞の脳室下帯への浸潤を促進することを見出した。浸潤に対するプレイオトロフィンの作用は、受容体PTPRZによって部分的に媒介され、神経膠腫細胞のRho-ROCK経路の活性化に関与した。2報目の論文で、Zhangらは、新たな血管が形成され、神経膠腫の増殖を可能にする過程である血管新生におけるプレイオトロフィンの内皮細胞への作用に注目した。プレイオトロフィンを放出する神経膠腫細胞は、血管が多いほど、また、血管付近のVEGF(別の血管新生促進因子)濃度が高いほど、大きな腫瘍を形成した。マウスでは、ALK(別のプレイオトロフィン受容体)の複数の阻害因子またはVEGF受容体(VEGFR)の阻害因子で処置した場合、神経膠腫のサイズはより小さくなり、生存期間も延長された。このように、神経前駆細胞から放出されたプレイオトロフィンは、部分的にPTPRZを介して神経膠腫の浸潤を促進する一方、神経膠腫細胞から放出されたプレイオトロフィンは自己分泌として機能し、ALKを介し、VEGFRを間接的に介して、血管新生を促進する。

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