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化学療法、疼痛と腸内細菌叢

Chemotherapy, pain, and gut microbiota

Editor's Choice

Sci. Signal. 12 Sep 2017:
Vol. 10, Issue 496, eaap9098
DOI: 10.1126/scisignal.aap9098

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. Shen, G. Lim, Z. You, W. Ding, P. Huang, C. Ran, J. Doheny, P. Caravan, S. Tate, K. Hu, H. Kim, M. McCabe, B.Huang, Z. Xie, D. Kwon, L. Chen, J. Mao, Gut microbiota is critical for the induction of chemotherapy-induced pain. Nat. Neurosci. 20, 1213-1216 (2017). Google Scholar

化学療法は腸内細菌叢に作用して、疼痛に関連する末梢性炎症を刺激させる。

要約
神経障害性疼痛は化学療法の主要な副作用であり、患者のQOLを損なうだけでなく、用量を制限し、したがって最終的に治療の効果を低下させる。Shenらは、腸内細菌叢が、化学療法後のマウスの機械的痛覚感受性に関与することを示している。乳がん患者によく用いられる化学療法薬であるオキサリプラチンは、特定病原体除去(SPF)マウスにおいて機械的痛覚過敏を誘発したが、無菌(GF)マウスでは、胃コンパートメントをSPFマウス由来の腸内細菌叢で再構成した場合を除いて、誘発しなかった。マウスに、化学療法曝露前に抗生物質のカクテルを与えた場合も、痛覚感受性が低下した。抗生物質とオキサリプラチンで処理したマウスの後根神経節(末梢性感覚ニューロン)では、対照マウスの後根神経節と比較して、マクロファージマーカー陽性細胞と炎症性サイトカインが少なかった。オキサリプラチンは培養マクロファージを刺激し、グラム陰性菌の細胞壁構成成分でありToll様受容体4(TLR4)のリガンドであるリポ多糖(LPS)の存在下でのみ、炎症性サイトカインを分泌させた。全細胞でまたは造血細胞特異的にTLR4を欠損したマウスでは、TLR4を発現する同腹仔と比べて、オキサリプラチン依存性の機械的痛覚過敏が顕著に減少した。これらの結果から、化学療法は一部の腸内細菌叢を刺激し、末梢ニューロンの周辺で炎症とマクロファージ活性化を引き起こす因子を分泌させると考えられ、抗生物質投与後に化学療法を行う連続治療が、患者に有益となる可能性が示唆される。しかし、一部の腸内細菌叢(たとえばグラム陽性菌)は、化学療法効果を促進する抗腫瘍免疫応答の誘導という重要な役割をもつ。したがって、選択的抗生物質、またはTLR4などの腸内細菌叢と免疫系の間の痛覚を仲介するシグナルの阻害により、細菌叢の抗腫瘍免疫への作用を可能にしながら痛覚に対する作用を制限することで、化学療法を受ける患者の転帰とQOLが改善する可能性がある。

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