蠕虫に対する内因性防御

Endogenous defense against helminths

Editor's Choice

Sci. Signal. 31 Oct 2017:
Vol. 10, Issue 503, eaar3224
DOI: 10.1126/scisignal.aar3224

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

L. J. Entwistle, V. S. Pelly, S. M. Coomes, Y. Kannan, J. Perez-Lloret, S. Czieso, M. Silva Dos Santos, J. I.MacRae, L. Collinson, A. Sesay, N. Nikolov, A. Metidji, H. Helmby, D. Y. Hui, M. S. Wilson, Epithelial-cell-derived phospholipase A2 group 1B is an endogenous anthelmintic. Cell Host Microbe 22, 484-493.e5 (2017).  Google Scholar

M. Palma, D. W. El-Naccache, W. C. Gause, Pla2g1b places worms in peril. Cell Host Microbe 22, 429-431(2017).  Google Scholar

分泌型ホスホリパーゼA2は寄生虫の幼虫を傷害することで、蠕虫感染から防御する

要約
細胞質型および分泌型のホスホリパーゼA2(PLA2)はいずれもリン脂質を切断してアラキドン酸を生成する。アラキドン酸は炎症性であり、代謝されてエイコサノイドのような他の炎症性分子を生成することもできる。Entwistleらの行った研究から、分泌型PLA2のファミリーメンバーであるPLA2g1Bも、蠕虫から宿主を防御することが明らかとなった。蠕虫感染は、炎症、組織修復および寄生虫の駆除に至る生理的変化を促進する、2型免疫応答の活性化を引き起こす(Palmaらの紹介記事参照)。マウスの初回の腸管蠕虫感染を駆虫薬により治療すると、マウスは次回感染に耐性を示すこととなった。2回目に蠕虫を感染させたとき、投薬治療されたマウスには小腸炎、腸上皮のPla2g1bの発現亢進、および腸管腔のPLA2活性亢進が認められた。PLA2g1Bノックアウトマウスは次回感染に耐性を示さなかったが、正常な2型免疫応答を保持していた。蠕虫の2回目の感染によるPla2g1bの誘導には2型免疫が不要であったが、腸内細菌叢、適応免疫およびリンパ球が必要であった。遺伝子組換えPLA2g1Bの投与により蠕虫幼虫のリン脂質含有量が減少し、このことはPLA2g1Bが蠕虫の発育または生存可能性を妨げるような方法で幼虫を傷害または衰弱させている可能性を示唆している。蠕虫感染が腸細胞内でどのようにPla2g1b発現を誘導しているかの詳細は完全に明らかではないが、これらの所見は、PLA2g1Bが、2型免疫で誘導される寄生虫駆虫プロセスとは独立して、おそらくは寄生虫を直接傷害することで、蠕虫に対する宿主防御に寄与することを示している。

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2017年10月31日号

Editor's Choice

蠕虫に対する内因性防御

Research Article

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