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新たなつながり:樹状細胞をより速く走らせる
New connections: Making dendritic cells go faster
Sci. Signal. 21 Nov 2017:
Vol. 10, Issue 506, eaar5246
DOI: 10.1126/scisignal.aar5246
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
P. J. Sáez, P. Vargas, K. F. Shoji, P. A. Harcha, A.-M. Lennon-Duménil, J. C. Sáez, ATP promotes the fast migration of dendritic cells through the activity of pannexin 1 channels and P2X7 receptors. Sci. Signal. 10,eaah7107 (2017).
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M. Bretou, P. J. Sáez, D. Sanséau, M. Maurin, D. Lankar, M. Chabaud, C. Spampanato, O. Malbec, L. Barbier, S.Muallem, P. Maiuri, A. Ballabio, J. Helft, M. Piel, P. Vargas, A.-M. Lennon-Duménil, Lysosome signaling controls the migration of dendritic cells. Sci. Immunol. 2, eaak9573 (2017).
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微生物産物やATPなどの危険信号は、リンパ節に遊走する樹状細胞の速度を高めて免疫応答を引き起こす。
要約
末梢組織の樹状細胞(DC)は、微生物産物であるリポ多糖(LPS)や損傷した細胞から放出されるATPなどの、危険に関連するシグナルに遭遇すると、リンパ節に移動してT細胞を活性化し、適応免疫応答を引き起こす。関連する2件の研究において、危険信号がDCの遊走速度を高める仕組みが検討されている。本誌では、Sáezらが、ATPはDCのP2X7受容体を刺激し、パネキシン1(Panx1)チャネルを開口させ、ATPを放出させることを示した。このオートクリンループが続いて、DCの遊走速度を高めた。野生型マウスのDCと比較して、Panx1欠損マウスのDCは、in vitroでの遊走が遅かった。ATP処理Panx1欠損DCをマウスの足蹠に注射すると、流入領域リンパ節への遊走不良が認められた。 Science Immunologyでは、Bretou らが、DCのLPS処理により、チャネルTRPML1を介するリソソームからのカルシウム放出が誘導されることを示した。これにより、樹状細胞の後部でモータータンパク質ミオシンIIが活性化され、迅速な方向性遊走が促進された。LPS刺激によるリソソームカルシウムシグナル伝達は、転写因子TFEBも活性化し、TFEBがTRPML1の発現を維持した。総合すると、これらのデータは、異なる危険がDCのリンパ節への速やかな遊走を促進し、適応免疫応答を引き起こす機構を強調している。