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ハイライト:IL-2受容体のシグナル伝達

Highlight: IL-2 receptor signaling

Editor's Choice

Sci. Signal. 19 Dec 2017:
Vol. 10, Issue 510, eaar7668
DOI: 10.1126/scisignal.aar7668

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

G. A. Smith, J. Taunton, A. Weiss, IL-2Rβ abundance differentially tunes IL-2 signaling dynamics in CD4+ and CD8+ T cells. Sci. Signal. 10, eaan4931 (2017). Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

C. J. Dwyer, A. L. Bayer, C. Fotino, L. Yu, C. Cabello-Kindelan, N. C. Ward, K. H. Toomer, Z. Chen, T. R. Malek,Altered homeostasis and development of regulatory T cell subsets represent an IL-2R-dependent risk for diabetes in NOD mice. Sci. Signal. 10, eaam9563 (2017).
Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

Tリンパ球におけるインターロイキン-2受容体シグナル伝達の変化による影響が、2報の論文から明らかに

要約

サイトカインであるインターロイキン-2(IL-2)は、リンパ球の発生、増殖および機能にとって重要である。IL-2RβやIL-2Rγサブユニットといった受容体複合体へのIL-2の結合は、転写因子STAT5を活性化し、IL-2依存性遺伝子の発現を誘導する。リンパ球のサブセットに応じて、細胞運命に及ぼすIL-2の影響が現れるまでに数時間から数日かかることもある。

本誌今週号に掲載されている2つの研究は、様々なリンパ球サブセットに対するIL-2Rシグナル伝達の影響を検討していた。Smithらは、CD4+とCD8+T細胞は同一のIL-2受容体と細胞内シグナル伝達要素をもっているにもかかわらず、異なったIL-2シグナル伝達のダイナミクスを示し、CD8+T細胞の方が、増殖性が高いことを見出した。IL-2はCD8+T細胞においてSTAT5の持続的活性化を促進したが、CD4+T細胞では2相性のSTAT5活性化を引き起こした。CD4+T細胞中のIL-2Rβの存在量はCD8+T細胞に比べて少なく、著者らは、IL-2Rβ存在量が低下したCD8+T細胞では、CD4+T細胞と類似したパターンのSTAT5活性化が生じ、細胞周期突入が遅れることを見出した。このような異なる反応は、ウイルスに対する十分な免疫応答(CD8+T細胞に依存)を可能にする一方で、過剰に活性化したCD4+T細胞によって引き起こされる自己免疫から保護していると考えられる。

1型糖尿病(T1D)は、CD4+T細胞が膵β細胞を攻撃する自己免疫疾患である。Dwyerらは、IL-2およびその受容体サブユニットをコードしている遺伝子の多型が、自己免疫疾患の発現リスクの増加と関連していることに注目し、T1DモデルであるNODマウスのT細胞に、シグナル伝達欠損性IL-2Rバリアント(IL-2RβY3)を発現させた。野生型受容体を発現しているNODマウスに比べ変異受容体を発現しているマウスでは、T1Dの発症が促進されていた。そのT細胞にIL-2RβY3を発現しているマウスでは、エフェクター細胞の活性を抑制している細胞である制御性T細胞(Treg)サブセットの数が減少し、活性が低下していた。さらにこれらのマウスでは、膵臓における自己反応性エフェクターT細胞の浸潤が亢進していた。以上のデータは、IL-2シグナル伝達の強度の低下はエフェクターT細胞よりもTregs細胞に強く影響することを示唆しており、これはIL-2の治療的使用に意味をもっている可能性がある。まとめると、両研究は、IL-2シグナル伝達の強度がどのようにして、異なるリンパ球サブセットに対して異なる機能的帰結をもたらすのかを明らかにしている。

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2017年12月19日号

Editor's Choice

ハイライト:IL-2受容体のシグナル伝達

Research Article

制御性T細胞サブセットの恒常性および発生の変化が、NODマウスにおける糖尿病のIL-2R依存性リスクを説明する

IL-2Rβの存在量はCD4+およびCD8+T細胞におけるIL-2シグナル伝達動態を差次的に調整する

mGluR5拮抗作用はオートファジーを亢進させ、ハンチントン病のzQ175マウスモデルにおいて疾患の進行を妨げる

発がん性PI3Kはシスチン-グルタミン酸対向輸送体xCTを介して乳がん細胞のメチオニン依存性を促進する

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