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抗生物質は宿主細胞の代謝に直接的に影響する

Antibiotics directly affect host cell metabolism

Editor's Choice

Sci. Signal. 09 Jan 2018:
Vol. 11, Issue 512, eaas9172
DOI: 10.1126/scisignal.aas9172

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. H. Yang, P. Bhargava, D. McCloskey, N. Mao, B. O. Palsson, J. J. Collins, Antibiotic-induced changes to the host metabolic environment inhibit drug efficacy and alter immune function. Cell Host Microbe 22, 757-765.e3 (2017).  Google Scholar

抗生物質治療は、薬剤の有効性と感染に対する免疫応答の両方に影響を及ぼす形で、宿主細胞の代謝を変化させる。

要約

抗生物質は、悪心や難聴、腱炎などの望ましくない副作用を引き起こすだけでなく、免疫応答を変化させ、ミトコンドリア機能を妨げる可能性がある。Yangらは、抗生物質が、薬剤の有効性を低下させ、免疫細胞の機能を妨げるような、宿主代謝の変化を引き起こす可能性もあることを報告している。著者らは、未処理の対照マウス、抗生物質シプロフロキサシンで処理したマウス、大腸菌(Escherichia coli)を腹腔内感染させたマウス、感染とシプロフロキサシン処理の両方を行ったマウスの腹膜、肺、血漿のメタボロームプロファイリングを行った。感染のない条件下でのシプロフロキサシン処理により、全3種類の組織において、対照検体と比較して代謝物プロファイルが変化したが、腹腔内感染によって代謝物変化が生じたのは、腹膜組織のみであった。同様に、感染マウスの腹膜組織で検出された代謝物変化のいくつかは、マウスがシプロフロキサシン処理を受けたかどうかに依存した。たとえば、抗生物質処理単独により、腹膜のアデノシン一リン酸(AMP)濃度が軽度に上昇し、感染により腹膜のAMP濃度が低下した。しかし、感染と抗生物質処理を組み合わせると、腹膜のAMP濃度は上昇した。シプロフロキサシン処理に応答して存在量が増加した、AMPやその他の代謝物は、 in vitroで大腸菌の殺傷に必要なシプロフロキサシン濃度を上昇させたことから、これらの代謝物変化の一部が、in vivoで抗生物質の有効性を低下させる可能性が示唆された。シプロフロキサシン処理単独により、腹膜の中心的代謝中間体の存在量が減少し、培養におけるマウスマクロファージの呼吸能と貪食能が低下した。この結果は、抗生物質がミトコンドリア機能を妨げる可能性があるというこれまでの報告と一致する。しかし、AMPは、培養において細菌を貪食殺傷するマウスマクロファージの能力を増強した。抗生物質は、主に腸内細菌叢への作用を介して宿主代謝物を変化させると考えられるが、抗生物質処理により、無菌マウスにおいて、保菌マウスと同様の代謝物変化が引き起こされた。これらの結果は、抗生物質が、宿主細胞に直接作用することによって宿主代謝物を変化させる可能性があること、そして、これらの変化は抗生物質の有効性と感染に対する免疫応答の両方に影響を及ぼす可能性があることを、明らかにしている。

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