細菌感染を感知する

Sensing bacterial infection

Editor's Choice

Sci. Signal. 30 Jan 2018:
Vol. 11, Issue 515, eaat1224
DOI: 10.1126/scisignal.aat1224

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

P. Xia, S. Wang, Z. Xiong, X. Zhu, B. Ye, Y. Du, S. Meng, Y. Qu, J. Liu, G. Gao, Y. Tian, Z. Fan, The ER membrane adaptor ERAdP senses the bacterial second messenger c-di-AMP and initiates anti-bacterial immunity. Nat. Immunol. 19, 141-150 (2018).
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M. R. Jakobsen, ERAdP standing in the shadow of STING innate immune signaling. Nat. Immunol. 19, 105-107 (2018).
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小胞体に常在するアダプタータンパク質ERAdPは、細菌のc-di-AMPを感知して免疫応答を刺激する。

要約

細胞は、病原体認識受容体による病原体関連分子パターンの感知を通じて、侵入するウイルスや細菌を検出する。酵素cGASは細胞質DNAを感知して環状ジヌクレオチドcGAMPを生成し、cGAMPは小胞体(ER)に常在するアダプタータンパク質STINGに結合する。これに続いて、I型インターフェロン(IFN)や炎症性サイトカインの産生が引き起こされる。環状ジヌクレオチドc-di-AMPは、リステリア菌(Listeria monocytogenes)などのグラム陽性菌によって分泌されるセカンドメッセンジャーであり、STINGとの結合親和性はcGAMPよりも低く、より弱いIFN応答を引き起こす(Jakobsenの解説記事参照)。Xiaらは、もう1つのERアダプタータンパク質であるERAdPを欠損したマウスに、リステリア菌を感染させると、急速に死亡した一方、対応する野生型マウスはより多くの炎症性サイトカインを産生し、病原体を排除したことを見出した。しかし、STINGを欠損したマウスは、サイトカイン産生が正常で、リステリア菌感染に対する感受性を示さなかった。ERAdP欠損マウスのマクロファージでは、リステリア菌感染またはc-di-AMP処理に応答した炎症性サイトカイン産生の障害が認められた。免疫沈降実験により、c-di-AMPはERAdPのC末端領域に結合し、ERAdPとの親和性がSTINGとの親和性よりも大きいことが示された。c-di-AMPの結合によりERAdPの二量体化とキナーゼTAK1の動員が刺激され、その結果、NF-κBが活性化され、核に移行し、炎症性サイトカインをコードする遺伝子の発現を駆動した。骨髄細胞においてERAdPとTAK1の両方を欠損したマウスは、リステリア菌感染に応答したNF-κB活性化またはサイトカイン産生を示さず、対応するシングルノックアウトマウスよりも早く死亡した。総合すると、これらのデータから、ERAdPによるc-di-AMPの検出は、細菌感染を制御するためのきわめて重要な機構であることが示唆される。

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