遺伝子発現を促進するAGO

(A)GO for gene expression

Editor's Choice

Sci. Signal. 13 Feb 2018:
Vol. 11, Issue 517, eaat2329
DOI: 10.1126/scisignal.aat2329

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Liu, Y. Xin, L. Xu, Z. Cai, Y. Xue, Y. Liu, D. Xie, Y. Liu, Y. Qi, Arabidopsis ARGONAUTE 1 binds chromatin to promote gene transcription in response to hormones and stresses. Dev. Cell 44, 348-361.e7 (2018).
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C. Castillo-González, X. Zhang, Transactivator: A new face of Arabidopsis AGO1. Dev. Cell 44, 277-279 (2018).
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AGO1は植物において、クロマチンと結合することによって、ホルモンおよびストレスシグナル伝達に応答して遺伝子発現を抑制するのではなく促進する。

要約

AGOタンパク質は、RNA誘導サイレンシング複合体のエフェクターとして核内では転写レベルで、細胞質内では転写後レベルで遺伝子発現を抑制する。本稿でLiuらは、AGO1がシロイヌナズナ(Arabidopsis)において遺伝子発現を正に調節することを示す(Castillo-González and Zhangも参照)。植物ホルモンのジャスモン酸は、シロイヌナズナにおいてAGO1のクロマチンとの結合を誘導し、ジャスモン酸応答性の遺伝子発現と挙動(根の成長阻害)を促進した。AGO1は、ジャスモン酸や他の多様な環境刺激(ホルモン、化学物質、細菌のフラジェリンタンパク質、低温ストレス)に応答して、低分子RNAと多様なヌクレオソームリモデリングSWI/SNF複合体によって刺激応答性遺伝子のクロマチンへと動員された。その後、AGO1はRNAポリメラーゼIIを動員することによって遺伝子転写を促進した。これらの知見は、植物における正の転写調節というAGO1の役割を明らかにしている。

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2018年2月13日号

Editor's Choice

遺伝子発現を促進するAGO

Research Article

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