多様性の代償

The cost of being different

Editor's Choice

Sci. Signal. 27 Feb 2018:
Vol. 11, Issue 519, eaat0494
DOI: 10.1126/scisignal.aat0494

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. S. Hauser, S. Chavali, I. Masuho, L. J. Jahn, K. A. Martemyanov, D. E. Gloriam, M. M. Babu,Pharmacogenomics of GPCR drug targets. Cell 172, 41-54.e19 (2018). Google Scholar

GPCRの広範な遺伝的多様性が、頻用される薬物に対する応答を変化させ、高い経済的負担を科すかもしれない。

要約

FDAに承認されている薬物の約3分の1は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を標的としている。Hauserらは、薬物応答に影響するGPCRをコードしている108の遺伝子における、遺伝的多様性の保有率、部位、影響および経済的負担を推定した。1000 Genomes Projectおよびexome aggregation consortium(ExAC)の解析により、GPCRをコードする遺伝子には、ミスセンス、機能喪失およびコピー数多型などの遺伝的多様性があることが明らかにされた。さらに、結晶構造データから、これら遺伝的多様性の多くは機能的な影響をもつことが予想された。著者らは、μ-オピオイド受容体をはじめとする種々の薬物が標的とするGPCRに関して、遺伝的多様性の薬物応答に及ぼす潜在的影響を明らかにした。リガンド結合部位周辺の、特徴づけされていない多型をもつバリアントをBRET解析したところ、2つのバリアントでは合成オピオイドに対する応答が変化していたが、内因性リガンドまたはモルヒネに対する応答は変化していないこと、また一方で、ナロキソン(オピオイド受容体のアンタゴニストであるためにオピオイド過量投与を回復できる)は、2つの機能獲得バリアントに対して完全アンタゴニストとして働かないことが示された。したがって、これら2つの機能獲得型バリアントのいずれかをもつ患者では、オピオイド過量投与からの回復にナロキソンはあまり有効でないと考えられる。英国では、279種類のGPCR標的薬に関する遺伝的多様性が大きな経済的負担になっていると著者らは推定した。GPCRバリアントの保有率が高いことは、薬物応答およびそれに関連する医療費に対してGPCバリアントが潜在的影響をもつことを示し、さらにGPCR標的薬の有効性と副作用プロファイルを評価する際には、臨床的に重要な遺伝子バリアントを考慮する必要があることを示唆している。

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