• ホーム
  • 新たなつながり:腫瘍におけるTGF-β

新たなつながり:腫瘍におけるTGF-β

New connections: TGF-β in tumors

Editor's Choice

Sci. Signal. 27 Feb 2018:
Vol. 11, Issue 519, eaat4115
DOI: 10.1126/scisignal.aat4115

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

D. V. F. Tauriello, S. Palomo-Ponce, D. Stork, A. Berenguer-Llergo, J. Badia-Ramentol, M. Iglesias, M. Sevillano,S. Ibiza, A. Cañellas, X. Hernando-Momblona, D. Byrom, J. A. Matarin, A. Calon, E. I. Rivas, A. R. Nebreda, A.Riera, C. S.-O. Attolini, E. Batlle, TGFβ drives immune evasion in genetically reconstituted colon cancer metastasis. Nature 554, 538-543 (2018). Google Scholar

S. Mariathasan, S. J. Turley, D. Nickles, A. Castiglioni, K. Yuen, Y. Wang, E. E. Kadel Iii, H. Koeppen, J. L.Astarita, R. Cubas, S. Jhunjhunwala, R. Banchereau, Y. Yang, Y. Guan, C. Chalouni, J. Ziai, Y. Şenbabaoğlu, S.Santoro, D. Sheinson, J. Hung, J. M. Giltnane, A. A. Pierce, K. Mesh, S. Lianoglou, J. Riegler, R. A. D. Carano, P.Eriksson, M. Höglund, L. Somarriba, D. L. Halligan, M. S. van der Heijden, Y. Loriot, J. E. Rosenberg, L. Fong, I.Mellman, D. S. Chen, M. Green, C. Derleth, G. D. Fine, P. S. Hegde, R. Bourgon, T. Powles, TGFβ attenuates tumour response to PD-L1 blockade by contributing to exclusion of T cells. Nature 554, 544-548 (2018). Google Scholar

S. Budhu, D. A. Schaer, Y. Li, R. Toledo-Crow, K. Panageas, X. Yang, H. Zhong, A. N. Houghton, S. C. Silverstein,T. Merghoub, J. D. Wolchok, Blockade of surface-bound TGF-β on regulatory T cells abrogates suppression of effector T cell function in the tumor microenvironment. Sci. Signal. 10, eaak9702 (2017).Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

腫瘍微小環境でサイトカインのTGF-βを標的にすると、浸潤T細胞による抗腫瘍免疫応答が亢進される。

要約

T細胞上の抑制性受容体PD-1とそのリガンドである腫瘍細胞上のPD-L1のいずれかに対する抗体が、ある種の進行がんの患者に素晴らしい治療効果をもたらしている。しかし、T細胞を再活性化して抗腫瘍免疫を発揮させるこれらの抗体の効力は、あるサブセットの患者でのみ有効であることから、その根底にある作用機序をより深く理解する必要性が高まっている。乗り越えるべき重要な障壁の1つが、免疫抑制性の腫瘍微小環境である。Natureに掲載された2件の研究では、サイトカインのトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)が、T細胞の腫瘍への浸潤を阻害することによって抗腫瘍免疫応答を抑制することを見出した。Taurielloらは、結腸直腸がんに関連する4つの主要な変異を発現するマウスを調べた。これらのマウスの転移では、T細胞の浸潤の少なさと間質にみられる活性型TGF-βが特徴的であった。TGF-βシグナル伝達を遮断すると、腫瘍の抗PD-L1抗体による効果への感受性が高まり、転移が阻害され、生存率が高まった。Mariathasanらは、抗PD-L1療法による治療を受けている転移性尿路上皮がん患者由来の検体を調べた。患者の線維芽細胞でTGF-βシグナル伝達を亢進させると、治療への反応が低下した。転移性尿路上皮がんのマウスモデルを用いた実験では、TGF-βシグナル伝達を標的とする抗体とPD-L1を標的とする抗体を用いた併用療法によって、T細胞の腫瘍へ浸潤する能力が高まり、抗腫瘍免疫応答が亢進され、腫瘍抑制が誘導された。Science Signalingに掲載されたBudhuらの以前の研究では、T細胞の抗腫瘍活性は腫瘍常在性の制御T(Treg)細胞によって抑制され、その抑制はTreg 細胞表面のTGF-βの存在に依存することが見出された。TGF-βに対する遮断抗体は、免疫抑制を阻止し、抗腫瘍応答を強化した。まとめると、これらの研究は、TGF-βシグナル伝達の遮断を含む併用療法ががん患者に治療効果をもたらす可能性を示唆している。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年2月27日号

Editor's Choice

多様性の代償

新たなつながり:腫瘍におけるTGF-β

Research Article

統合的in vivoマルチオミクス解析によりp21活性化キナーゼシグナル伝達が大腸炎のドライバーとして同定される

Wnt、成長因子および三量体Gタンパク質シグナルのグアニンヌクレオチド交換因子Dapleへの収束

Wdpcpは心外膜EMTおよび心外膜由来細胞移動を促し冠動脈リモデリングを促進する

最新のEditor's Choice記事

2018年5月1日号

小胞体ストレスががんを阻害するとき

2018年4月24日号

新たなつながり:ユーイング肉腫の「ドライバー」がそのアキレス腱である

2018年4月17日号

PD-1シグナル伝達を再検討する

2018年4月10日号

新たなつながり:単純なシグナル伝達系の複雑性

2018年4月3日号

新たなつながり:サイトカインは共有することを学ぶ