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PD-1シグナル伝達を再検討する
Revisiting PD-1 signaling
Sci. Signal. 17 Apr 2018:
Vol. 11, Issue 526, eaat8704
DOI: 10.1126/scisignal.aat8704
Erin Williams
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
G. Rota, C. Niogret, A. T. Dang, C. R. Barros, N. P. Fonta, F. Alfei, L. Morgado, D. Zehn, W. Birchmeier, E. Vivier, G. Guarda,Shp-2 is dispensable for establishing T cell exhaustion and for PD-1 signaling in vivo. Cell Reports 23, 39-49 (2018).
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がんにおける抗PD1療法の保護効果は、ホスファターゼPtpn11を必要としない可能性がある。
要約
T細胞消耗は、長期のウイルス感染またはがんにおける慢性的な抗原刺激によって生じる。これらの疾患においては、プログラム細胞死1(PD-1)を含む抑制性受容体の発現の漸進的増加が、T細胞機能障害の進行と相関する。PD-1を遮断する治療により、がんに対する患者のT細胞応答を増強し、マウスでは消耗したウイルス特異的T細胞の機能を回復させることができる。T細胞のPD-1が活性化すると、ホスファターゼPtpn11(Shp-2としても知られる)が動員され、in vitroで共刺激受容体CD28によるシグナル伝達が弱まる。しかしRota らは、マウスにおいて、PD-1を介する作用にPtpn11が必要ないことを見出した。PD-1欠損T細胞を有するマウスと異なり、Ptpn11欠損T細胞を有するマウスでは、慢性ウイルス感染後に過剰な免疫病変は発生しなかった。さらに、T細胞のPtpn11を欠失させても、抗PD1腫瘍治療の効果は阻害されなかった。これらのデータから、T細胞機能を阻害する、PD-1シグナル伝達のPtpn11非依存性経路が存在する可能性が示唆される。また、これらのデータからは、この臨床的がん免疫療法のシグナル伝達機構が、初代培養T細胞集団におけるさらなる調査に値することが示唆される。