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タンパク質輸送 キネシンIIはシグナル伝達物質を輸送する

PROTEIN TRANSPORT:
Kinesin II Hauls Signaling Cargo

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 182, pp. tw183, 13 May 2003
[DOI: 10.1126/stke.2003.182.tw183]

要約 : 単細胞の緑藻クラミドモナス(Chlamydomonas)は、鞭毛を、移動のためだけでなく、配偶子細胞間での相互作用を促進し、受精のために重要なシグナル伝達事象を開始する鞭毛接着分子の提示のためにも使用する。鞭毛には新規のタンパク質を合成する器官がないため、細胞は、細胞体で合成されたタンパク質を含む粒子を鞭毛に輸送する鞭毛内輸送システムを利用している。このような輸送は恒常的に起こるが、調節型輸送も報告されている。例えば、クラミドモナスオーロラ(aurora)プロテインキナーゼ(CALK)は、異なる接合型の細胞の鞭毛上にある受容体が相互作用した際に生じるシグナルに応答した時のみ、鞭毛に輸送される。(興味深いことに、オーロラプロテインキナーゼは、他のシステムでは細胞分裂に関係している。)PanとSnellは、モータータンパク質キネシンIIの変異体を利用して、このような活性化されて起こる鞭毛へのCALKの輸送に、キネシンIIが必要なことを示した。キネシンIIは、鞭毛へのタンパク質の恒常的な輸送を担うモーターでもある。しかし、異なる温度で維持された細胞中におけるキネシンII変異の作用によって、キネシンIIの2つの役割を区別できた。CALKの調節型輸送は、鞭毛膜との結合に至ると考えられ、一方、非調節型輸送では、細胞質ゾルの部位にタンパク質が送達される。Schnappは、シグナル伝達分子の能動輸送に関する別の証拠について検討している。一部の例では、シグナル伝達分子の能動輸送がモータータンパク質と骨格タンパク質との相互作用に関係しており、この作用によって全てのシグナル伝達複合体が適切な作用部位に送達される。

J. Pan, W. J. Snell, Kinesin II and regulated intraflagellar transport of Chlamydomonas aurora protein kinase. J. Cell Sci. 116, 2125-2135 (2003).
B. J. Schnapp, Trafficking of signaling modules by kinesin motors. J. Cell Sci. 116, 2179-2186 (2003).

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