筋発生 IL-4:融合シグナル

MYOGENESIS:
IL-4: A Fusion Signal

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 183, pp. tw192, 20 May 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.183.tw192]

要約 : T細胞によって放出された時のサイトカインインターロイキン4(IL-4)の1つの機能は、マクロファージの融合を刺激することである。Horsleyらは、IL-4が新生筋管の融合刺激シグナルでもあり、筋芽細胞と既存の筋管との融合を増進させることによって筋管の発達を促進することを明らかにしている。カルシウムシグナル伝達は筋肉の分化に必須であり、カルシウムにより活性化される転写因子の1つのファミリーは、活性化T細胞の核因子(NFAT)である。いくつかのNFATアイソフォームが筋発生の間に一時的に活性化されるが、NFAT2cは融合直後の新生筋管中で特異的に活性化されるアイソフォームである。著者らは、NFAT2c-/-筋芽細胞を用いて、IL-4の適用によって、筋管の大きさおよび核数を野生型の量に回復させることができたことを示した。さらに、IL-4の発現および分泌は、最初の筋管形成後に増大し、核数がより少ない小さい(細い)筋管が生じる結果となったNFAT2c-/-筋管培養物中には存在しなかった。IL-4およびIL-4受容体α(IL-4Rα)の重要性は、IL-4-/-またはIL-4Rα-/-マウスの筋肉では、野生型筋肉と比較して、筋繊維の大きさおよび筋管の核数が少なかったことにより確認された。著者らは、共培養融合アッセイを用いて、筋管から放出されたIL-4が、既存の筋管と融合するように、IL-4Rαを発現している筋芽細胞を刺激することを示した。このように、これらの実験は、筋肉の発生および損傷からの回復に関する基本的な疑問を扱うだけではなく、免疫系以外でのIL-4の役割も示している。

V. Horsley, K. M. Jansen, S. T. Mills, G. K. Pavlath, IL-4 acts as a myoblast recruitment factor during mammalian muscle growth. Cell 113, 483-494 (2003).

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