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浸透圧センサー:GAP43は低浸透圧とカルシウムシグナル伝達をつなぐ

OSMOSENSORS:
GAP43 Couples Hypoosmolarity to Calcium Signaling

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 188, pp. tw234, 24 June 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.188.tw234]

要約 : 細胞は、浸透圧と機械的刺激の変化に応答できる--浸透圧の変化は、細胞の膨張と収縮を引き起こし、膜を変形させることがある。これは、「機械的」刺激の1つの形態である。特殊な機械センサー(mechanosensory)細胞では、機械的な力によってチャネルゲーティングを変化させる。浸透圧と機械的な力の変化に対してカルシウム濃度変化で応答する感覚ニューロンについては、浸透圧センサーも機械センサーも同定されていない。Capriniらは、後根ガングリオン由来のcDNAを用いた発現クローニングを利用して、低浸透圧条件に応答してカルシウム濃度変化を促進するが、高浸透圧条件には応答しない浸透圧センサーとして、GAP43を同定した。GAP43は、軸策伸張とシナプス形成に関係している、パルミトイル化された膜結合タンパク質である。ヒト胚性腎293(HEK293)細胞中で発現させると、GAP43は細胞質ゾルカルシウムの増加を促進した。この増加は、細胞内カルシウム貯蔵によるものであり、細胞外カルシウムによるものではなかった。さらに、カルシウム濃度変化の大きさと応答する細胞の数の両方が、低張性の増大に伴って増大した。パルミトイル化に必要なシステインを変異させると、GAP43が脂質ラフトに蓄積するが、この変異は、低浸透圧条件に応答してカルシウムシグナル伝達を活性化するGAP43の能力を遮断した。GAP43をリン酸化することが知られているプロテインキナーゼC(PKC)の薬理学的阻害では、低張性に応答した細胞数が減少した。GAP43とホスホリパーゼC(PLC)-δ1は低浸透圧条件に曝された細胞中では免疫共沈したが、等張液中の細胞では免疫共沈しなかった。低浸透圧条件に対する応答は、PLC活性が阻害されると完全に遮断された。このように、低浸透圧条件は、GAP43とPLCの結合を促進し、それによってPLC活性を活性化し、イノシトール3リン酸(IP3)の放出を促進して、内部貯蔵からカルシウムを放出させる。実際に、低浸透圧刺激に曝されたGAP43発現細胞中で、IP3の増大を検出することができた。

M. Caprini, A. Gomis, H. Cabedo, R. Planells-Cases, C. Belmonte, F. Viana, A. Ferrer-Montiel, GAP43 stimulates inositol trisphosphate-mediated calcium release in response to hypotonicity. EMBO J. 22, 3004-3014 (2003).

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