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長寿:赤ワイン、食生活、長生き

LONGEVITY:
Of Red Wine, Diet, and a Long Life

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 200, pp. tw356, 16 September 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.200.tw356]

要約 : カロリー制限は老化を遅らせ、さまざまな生物の寿命を延ばす。この寿命の延長は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、ストレス応答を担うと考えられているサーチュインファミリー脱アセチル化酵素Sir2の活性化を介している。また、サーチュイン活性は、線虫(Caenorhabditis elegans)の長寿にも関与し、それに関連するヒト酵素SIRT1は、腫瘍抑制因子p53を脱アセチル化し、細胞の生存を促進する(Finkel参照)。Howitzらは、サーチュイン機能に影響を及ぼす化合物について低分子ライブラリのスクリーニングを行い、in vitroでの蛍光脱アセチル化分析の結果、いくつかの植物ポリフェノールがSIRT1活性を促進することを見出した。レスベラトロールは赤ワインに含まれ、適量のワイン飲用によるさまざまな健康上の利益に関与すると考えられているが、これらのサーチュイン活性化化合物(STAC)のうちで最も有効であった。低濃度のレスベラトロールは酵母Sir2を活性化し、レスベラトロールなどのSTACは酵母の分裂寿命を延長した。レスベラトロールが寿命に及ぼす影響はSir2に依存し、レスベラトロールが存在する場合には、グルコース欠乏によってさらなる寿命の延長は生じなかった。低濃度のレスベラトロールは、電離放射線に曝露したヒト胚性腎細胞(HEK 293細胞)の生存を延長し、放射線を照射したHEK 293および骨肉腫細胞におけるp53のアセチル化を減少させた(レスベラトロール効果の濃度依存性は複雑で、高濃度のレスベラトロールは骨肉腫細胞におけるp53のアセチル化を増加させた)。著者らは、ストレス下にある植物は、サーチュインを介する応答を制御するためにポリフェノールを合成し、動物および菌類は、これらの植物ストレス代謝産物に対して応答する能力を持つというモデルを提示した。

K. T. Howitz, K. J. Bitterman, H. Y. Cohen, D. W. Lamming, S. Lavu, J. G. Wood, R. E. Zipkin, P. Chung, A. Kisielewski, L.-L. Zhang, B. Scherer, D. A. Sinclair, Small molecule activators of sirtuins extend Saccharomyces cerevisiae lifespan. Nature 425, 191-196 (2003).

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