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血管新生 エンドスタチンのシグナル伝達ネットワーク

ANGIOGENESIS:
Endostatin's Signaling Network

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 224, pp. tw93, 16 March 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2242004TW93]

要約 : エンドスタチンは内因性の抗血管新生ペプチドで、内皮細胞の増殖、遊走、管腔形成を阻害する。Abdollahiらは選択ウエスタンブロット法や免疫細胞化学に加えてcDNA・抗体マイクロアレイ解析を行い、抗血管新生作用を発揮するヒト皮膚微小血管内皮細胞においてエンドスタチンが複数の経路を制御していることを示した。遺伝子発現レベルではエンドスタチンはゲノムの約12%を制御しており、血管新生の促進に関与する遺伝子は概して発現量が低下し、ストレス応答に関与する遺伝子は発現量が増加していた。抗体アレイにより、多くの経路において個々のタンパク質のリン酸化状態がエンドスタチン処理により変化することが示された。エンドスタチン処理により発現量が低下する8種類のシグナル伝達カスケード:Idシグナル伝達および活性化タンパク質(AP)1シグナル伝達(細胞増殖)、低酸素誘導因子1αシグナル伝達(低酸素、代謝適応)、エフリンおよび腫瘍壊死因子(TNF)αシグナル伝達(細胞遊走)、核因子(NF)κB(増殖、抗アポトーシス)、シグナル伝達性転写因子(STAT)1シグナル伝達(増殖・遊走制御因子)、Ets(遊走、抗アポトーシス)、凝固カスケード、接着分子経路:について、さらに詳細な研究が行われた。以上の結果は、エンドスタチンにより制御されるいくつかの新たな経路を同定し、単一リガンドの抗血管新生活性に寄与する複雑な応答ネットワークの全体像を示すものである。

A, Abdollahi, P. Hahnfeldt, C. Maercker, H.-J. Grone, J. Debus, W. Ansorge, J. Folkman, L. Hlatky, P. E. Huber, Endostatin's antiangiogenic signaling network. Mol. Cell 13, 649-663 (2004).

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