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炎症 新しいサイトカインを待ち望む

INFLAMMATION:
Itching for a New Cytokine

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 240, pp. tw237, 6 July 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2402004TW237]

要約 : 免疫系の活性化は、病気を引き起こす病原体から防御することができるが、この機構の暴走は、自己免疫疾患やアレルギーを引き起こす。たとえば、しばしば花粉症や喘息と結びつく炎症性の皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎は、2型ヘルパーT(TH2)細胞による異常なサイトカイン産生を伴うと考えられている。Dillonらは、IL-31RAv1〜4と名付けた4つのスプライスバリアントを持つ、gp130様のサイトカイン受容体をクローン化した。IL-31RAを同じファミリーに属するOSMR受容体(オンコスタチンM受容体)とともにリンパ球株で発現させたところ、細胞は活性化T細胞由来の条件培地に反応して増殖した。著者らは、同様に増殖を促進する新規の164アミノ酸タンパク質をコードするcDNAを活性化T細胞ライブラリから同定した。著者らがIL-31と名付けたこのタンパク質は、OSMRならびにIL-31RAv3またはIL-31RAv4のいずれかをトランスフェクトした細胞において、STAT(signal transducers and activators of transcription)を活性化した。IL-31は、活性化T細胞、特にTH2細胞で発現していた。リンパ球に特異的なプロモーターの制御下でマウスIL-31を過剰発現させたトランスジェニックマウスは、浸透圧ポンプでIL-31を投与したマウスと同様に、そう痒および脱毛を発症した。気道過敏性のマウスモデルにおいて、あらかじめ感作したマウスを抗原に曝露すると、肺におけるIL-31RAの発現が促進された。この応答を、TH2が介在する疾患に対して異なる感受性を持つ2つのマウス系統で比較したところ、IL-31RAの発現の増加は、感受性が高い系統の方が大きかった。IL-31が皮膚炎や気道過敏性疾患を媒介しているとすれば、このタンパク質の同定、性質の決定は、これらの疾患を予防、治療する有効な戦略に結びつくかもしれない。

S. R Dillon, C. Sprecher, A. Hammond, J. Bilsborough, M. Rosenfeld-Franklin, S. R. Presnell, H. S. Haugen, M. Maurer, B. Harder, J. Johnston, S. Bort, S. Mudri, J. L. Kuijper, T. Bukowski, P. Shea, D. L. Dong, M. Dasovich, F. J. Grant, L. Lockwood, S. D. Levin, C. LeCiel, K. Waggie, H. Day, S. Topouzis, J. Kramer, R. Kuestner, Z. Chen, D. Foster, J. Parrish-Novak, J. A. Gross, Interleukin 31, a cytokine produced by activated T cells, induces dermatitis in mice. Nat. Immunol. 5, 752-760 (2004).

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