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細胞周期 プロテアソームに到達する複数の方法

CELL CYCLE:
More Than One Way to Get to the Proteasome

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 253, pp. tw352, 5 October 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2532004tw352]

要約 : アンチザイムは、ポリアミン合成の律速段階を担うオルニチンデカルボキシラーゼの分解を促進する役割があることがよく知られている。アンチザイムの過剰発現やアンチザイムの産生を刺激する外因性ポリアミンによる細胞の処理はまた、細胞分裂の阻害をもたらす。Newmanらは、ユビキチンを介したプロテアソームへのターゲティングを必要としないメカニズムにより、アンチザイムがG1期‐S期の移行における重要な制御因子であるサイクリンD1を分解の標的とすることを突き止めた。ポリアミンに曝露されているか、またはアンチザイムを過剰生産している前立腺癌細胞(AT2.1)では、mRNAの減少を伴わずにサイクリンD1が減少し、細胞はG1期に停止した。ポリアミンによるサイクリンD1分解の促進は、アンチザイムに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドにより阻害された。ユビキチンと効率よく結合できない変異型のサイクリンD1を発現する細胞は、スペルミン処理またはアンチザイム過剰発現後も依然としてサイクリンD1が減少していた。in vitroで翻訳されたタンパク質を用いて、サイクリンD1とアンチザイムの複合体を検出することができた。さらに、精製タンパク質を用いたin vitroアッセイにおいて、アンチザイムは、ユビキチンおよびユビキチンリガーゼが存在しない場合でも、プロテアソームによるサイクリンD1の分解を促進した。以上より、アンチザイムは、ユビキチン化を伴わない経路により、基質をプロテアソーム分解へ向かわせることができるようである。

R. M. Newman, A. Mobascher, U. Mangold, C. Koike, S. Diah, M. Schmidt, D. Finley, B. R. Zetter, Antizyme targets cyclin D1 for degradation. J. Biol. Chem. 279, 41504-41511 (2004). [Abstract] [Full Text]

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