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神経科学:あなたにもっと力を?

NEUROSCIENCE:
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Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 264, pp. tw452, 21 December 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2642004tw452]

要約 : Liらは、微速度撮影(タイムラプス)顕微鏡を用いて、培養ラット海馬神経細胞中の蛍光標識したミトコンドリアを可視化し、大部分の樹状突起のミトコンドリアは樹状突起幹に局在しているが、突起(スパインおよびフィロポディア)中のミトコンドリアの割合は発達段階によって変化し、シナプス形成時およびスパイン形成時に増加することを認めた。90mM KClへの曝露による反復的な脱分極により、新規の突起およびシナプスの形成が促進され(PSD-95染色による評価)、突起中のミトコンドリアの割合とミトコンドリアを含む突起のパーセンテージが増加した。同様に、高頻度の局所的シナプス刺激により、樹状突起スパインが局所的に大きくなり、続いてミトコンドリアのあるスパインのパーセンテージが増加した。Drp-1(ダイナミン関連タンパク質1、ミトコンドリア分裂の制御に関与するGTPアーゼ)の過剰発現により、樹状突起のミトコンドリア密度ならびに樹状突起スパインおよびシナプスの密度が増加した。一方、ドミナントネガティブ型Drp-1の過剰発現により、ミトコンドリアを含む樹状突起が枯渇し、樹状突起スパインおよびシナプスの密度が低下した。ミトコンドリア呼吸を促進するクレアチンもシナプス密度を増加させた。さらに、Drp-1とクレアチンはいずれも、90mM KClによる反復的な脱分極に応答してシナプス形成を促進した。最後に、50mM KClによる脱分極は、ミトコンドリアの運動速度を低下させ、融合よりも分裂を促進したのに対し、テトロドトキシンには逆の効果が認められた。このように、ミトコンドリアの活性および樹状突起における分布は、シナプス密度および活性依存性のシナプス形成の制御に役割を果たすと考えられ、一方、神経活性は、ミトコンドリアの運動性、全体的な形態学、分布に影響を与えると考えられる。SchumanとChanはその背景をPreviewで概説している。

Z. Li, K.-I. Okamoto, Y. Hayashi, M. Sheng, The importance of dendritic mitochondria in the morphogenesis and plasticity of spines and synapses. Cell 119, 873-887 (2004). [Online Journal]
E. Schuman, D. Chan, Fueling synapses. Cell 119, 738-740 (2004). [Online Journal]

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