• ホーム
  • 細胞増殖 ストレスと成長シグナルを一体化する

細胞増殖 ストレスと成長シグナルを一体化する

CELL PROLIFERATION:
Integrating Stress and Growth Signals

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 288, pp. tw218, 14 June 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2882005tw218]

要約 : 細胞の成長や増殖を有効に制御するため、細胞は、成長因子、栄養、細胞のエネルギー貯蔵の存在を感知することにより、内部条件と外部条件のどちらが好ましいかを測定する役目をするシグナルと、増殖の成功に悪影響を及ぼす可能性があるストレスに応じて生成されるシグナルを判断する必要がある。後者の多くは腫瘍抑制タンパク質p53を介するシグナル伝達を活性化するのに対し、成長を制御する経路はホスホイノシチド3-キナーゼ関連キナーゼTOR(ラパマイシンrapamycinの標的)の活性化に関与する。Fengらは、これら2つの経路の情報を一体化するメカニズムをもたらすと考えられる、これら2つのシグナル伝達経路のクロストークを示す実験について述べている。マウス胚線維芽細胞において、DNA損傷により誘導されたストレス後のp53の活性化は、TORの活性およびその下流に対する作用を阻害し、こうした効果はp53欠損細胞では失われていた。細胞の栄養状態に応じてTORを制御するプロテインキナーゼであるAMPK(アデノシン一リン酸活性化キナーゼ)を薬理学的に阻害したところ、AMPKはTORに対するp53の作用も仲介することが明らかになった。反対に、グルコースを欠乏させた細胞は、p53タンパク質の活性化の一段階であるリン酸化を示した。著者らは、栄養または代謝経路と細胞ストレスのセンサーとの間のこうしたシグナル伝達が正常な細胞の成長や増殖を行う上で必要なのではないかと述べている。

Z. Feng, H. Zhang, A. J. Levine, S. Jin, The coordinate regulation of the p53 and mTOR pathways in cells. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102, 8204-8209 (2005). [Abstract] [Full Text]

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ