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疼痛 内在性カンナビノイドはストレス誘発鎮痛を媒介する

PAIN:
Endocannabinoids Mediate Stress-Induced Analgesia

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 290, pp. tw233, 28 June 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2902005tw233]

要約 : 急性ストレスは疼痛知覚を減少させる。Hohmannらは、ラットにおいて、内在性カンナビノイドのシグナル伝達がストレス誘発鎮痛(SIA)の仲介に関与することを示している。CB1内在性カンナビノイド受容体の拮抗薬は、CB1アゴニストへの慢性的曝露(カンナビノイドへの耐性を生じる)と同様にSIAを阻害するが、オピオイド受容体の拮抗薬はSIAを阻害しない。フットショック(急性ストレス)にさらされた後さまざまな時間に屠殺したラットでは、2分後に背側中脳の2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)濃度が増加し、その後15分以内にこの内在性カンナビノイドの基底濃度までに戻った。アナンダミド濃度は、ショック後約15分でピークに達した。著者らは、2-AG加水分解酵素モノアシルグリセロールリパーゼ(MGL)の選択的阻害薬(N-ビフェニルカルバミン酸)を開発し、この阻害薬を中脳中心灰白質に微量注入するとSIAが亢進し、この作用はCB1拮抗薬リモナバントの投与により阻害されることを示した。アナンダミドを代謝する酵素の阻害もSIAを亢進させ、この作用も同様にリモナバントにより阻害された。以上より、内在性カンナビノイドの代謝酵素は疼痛およびストレス障害治療の標的となる可能性がある。

A. G. Hohmann, R. L. Suplita, N. M. Bolton, M. H. Neely, D. Fegley, R. Mangieri, J. F. Krey, J. M. Walker, P. V. Holmes, J. D. Crystal, A. Duranti, A. Tontini, M. Mor, G. Tarzia, D. Piomelli, An endocannabinoid mechanism for stress-induced analgesia. Nature 435, 1108-1112 (2005). [PubMed]

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