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カルシウム ストア作動性カルシウム流入における細胞辺縁の構造体へのSTIMタンパク質の再分布

Redistribution of STIM Proteins to the Peripheral Structures in Store-Operated Calcium Influx

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 293, pp. tw262, 19 July 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2932005tw262]

要約 : イノシトールトリスリン酸(IP3)受容体を介して小胞体(ER)からのカルシウム放出を引き起こす刺激は、この細胞内カルシウムストアを枯渇させ、細胞膜からのストア作動性カルシウム(SOC)流入を誘導する。Liouらは、一次配列におけるシグナル伝達ドメインの存在を基準として選択した2304個のタンパク質に対して、siRNAスクリーニングをデザインした。ノックダウンすると、(ERのカルシウム再動員を阻害するために)タプシガルギンの存在下で細胞をヒスタミン(IP3受容体を介してカルシウム放出を促進する)処理した際に、カルシウム流入のプラトー相が減少するタンパク質を同定するという形で行われた。1つの膜貫通ドメインと1つのEF‐ハンドカルシウム結合モチーフを有するストローマ相互作用分子1および2(STIM1およびSTIM2)のsiRNAは、最初の一過性カルシウムシグナルを減少させることなく持続性のカルシウムシグナルを抑制した。STIM1またはSTIM2のsiRNAは、細胞外カルシウムの非存在下でストアを枯渇させた後に細胞外カルシウムを添加すると観察されるカルシウム流入を減少させた(カルシウムアッドバック法calcium add-back assay)。黄色蛍光タンパク質(YFP)‐STIM1を過剰発現させると、Mn2+クエンチ法によって示されるSOC流入チャネルの開口は増加した。Mn2+クエンチ法では、SOC流入チャネルを介して流入するMn2+がFura-2シグナルを消失させる。YFP-STIM1はERに局在化するが、ストアの枯渇により細胞辺縁部の点状構造へと再分布した。それは、細胞外カルシウムがない場合でも起きたことから、ストア枯渇(その後の細胞膜を介したカルシウム流入ではなく)が再分布の原因である可能性が示唆される。EF‐ハンドドメインの変異はストアの枯渇がなくてもYFP-STIM1の点状構造への再分布を引き起こし、ストアの枯渇なしでカルシウム流入を促進し、一方で、ストアの枯渇はさらなる流入を引き起こさなかった。野生型シアン蛍光タンパク質(CFP)-STIM1およびEF‐ハンドYFP-STIM1を発現するようにトランスフェクトした細胞において、ストアの枯渇はYFP-STIM1陽性の点状構造へのCFP-STIM1の再分布を誘導した。以上より、SOC流入は、膜に近接する点状細胞内構造に対するERタンパク質の急速な再分布と関係するようであり、細胞膜上のチャネルとともに、これらの細胞内構造において、タンパク質間の直接的な結合を仲介する可能性がある。

J. Liou, M. L. Kim, W. D. Heo, J. T. Jones, J. W. Myers, J. E. Ferrell Jr., T. Meyer, STIM is a Ca2+ sensor essential for Ca2+-store-depletion-triggered Ca2+ influx. Current Biol. 15, 1235-1241 (2005).

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