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骨粗鬆症 FSHが骨吸収を増加させる

OSTEOPOROSIS:
FSH Increases Bone Resorption

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 332, pp. tw135, 25 April 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3322006tw135]

要約 : 骨量が減少する骨粗鬆症は、閉経後の女性に多くみられる健康障害であり、少なくともその一つの原因はエストロゲンの減少である。Sunらは、最近、エストロゲン産生を制御する下垂体ホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)が、破骨細胞の分化および吸収作用を促進することにより、骨量に直接的な影響を及ぼすことを示している。破骨細胞は骨を分解し吸収する細胞で、骨芽細胞は骨を形成する細胞である。FSHβやFSH受容体(FSHR)を欠乏するマウスは性機能の低下を示し、エストロゲン欠乏の多くの症状を発現したが、これらのマウスの骨量は正常であった。FSHβヘテロ接合体マウスは、血中FSHβが50%減少し、妊娠可能で、卵巣および子宮は正常であったが、これらのマウスは骨密度が上昇していた。FSHβ+/-マウスは、骨吸収の低下、血中酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP、破骨細胞活性のマーカー)の低下、骨髄における破骨細胞マーカーの発現低下を示し、これらはいずれもFSHが破骨細胞に亢進性のシグナルを与えることを示唆している。FSHRのmRNAおよびタンパク質は、成熟破骨細胞および前駆細胞の両方において検出され、原形質膜に存在していた。培養細胞において、FSHは分化を活性化することにより破骨細胞形成を促進したが、増殖は促進せず、個々の破骨細胞の吸収作用を亢進した。FSHはアデノシン3’,5’-一リン酸(cAMP)の減少を引き起こすGα2iを介してシグナルを伝達し、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)経路やホスホイノシチド3-キナーゼ-Akt経路、核因子κB(NF-κB)経路を介したシグナル伝達を活性化した。以上の結果は、FSHの骨密度に対する直接的かつエストロゲン非依存性の効果と、閉経後骨粗鬆症におけるFSHの重要な役割を指し示すものである。

L. Sun, Y. Peng, A. C. Sharrow, J. Iqbal, Z. Zhang, D. J. Papachristou, S. Zaidi, L.-L. Zhu, B. B. Yaroslavskiy, H. Zhou, A. Zallone, M. R. Sairam, T. R. Kumar, W. Bo, J. Braun, L. Cardoso-Landa, M. B. Schaffler, B. S. Moonga, H. C. Blair, M. Zaidi, FSH directly regulates bone mass. Cell 125, 247-260 (2006). [Online Journal]

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