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非コードRNA 卵形成に必要なのは、oskarのタンパク質ではなくRNAである

NONCODING RNA:
Oskar RNA, Not Protein, Required for Oogenesis

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 345, pp. tw244, 25 July 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3452006tw244]

要約 : ショウジョウバエ(Drosophila)では、母性ナース細胞がoskarのmRNAを卵母細胞に沈着し、oskar転写産物は、卵形成中期に卵母細胞の後極に蓄積する。oskar mRNAの翻訳は、その結果生じる胚において、後極パターニングと腹部および生殖細胞の形成に重要な2つの選択的スプライシングバリアントを生成する。Jennyらは、oskar mRNAを生成せず、変異メスバエにおける卵形成停止をもたらすoskarの2つの新しい変異体(oskA87oskl87)について説明している。この表現型は、mRNAを喪失せずタンパク質生成を破壊するだけのoskar変異体で観察されるものとは異なる。タンパク質破壊oskar変異を有するハエは、繁殖能はあるが、変異子孫を生じた。oskA87oskl87の卵形成停止表現型は、タンパク質破壊oskar対立遺伝子(以前定義されたoskarタンパク質破壊対立遺伝子、または翻訳開始を阻止するよう操作した対立遺伝子のいずれか)の導入により救済された。その結果生じたハエは、oskarタンパク質の不在下で観察される表現型である、腹部を欠損する胚を生成した。oskarプロモーター、イントロンまたはコード配列を欠くコンストラクトは、卵形成の欠損を救済したが、3’-非翻訳領域(3’-UTR)を欠くコンストラクトは、卵形成の欠損を救済しなかった。さらに、oskarの3’-UTRだけのコンストラクトは、oskar mRNA欠損変異体の卵のない表現型を救済した。すなわち、oskar mRNAは、卵形成の初期において、胚における後極パターニングおよび腹部形成におけるoskarタンパク質の機能とは独立した役割を有する。卵形成は、oskar mRNA欠損変異体で開始するが、RNA結合タンパク質であるStaufenは、発生中の卵母細胞には蓄積せず、最終的には変異卵室が変性する。oskarの3’-UTRを導入すると、Staufenは卵母細胞に会合したが、発生中の卵母細胞の後方へのStaufenとoskarの3’-UTRの両方の蓄積は促進できなかった。以上より、oskarの3’-UTRは、卵形成を修復するうえで十分であるのに対し、このタンパク質は、適切な胚パターニングの修復に必要である。

A. Jenny, O. Hachet, P. Zavorszky, A. Cyrklaff, M. D. J. Weston, D. St. Johnston, M. Erdelyi, A. Ephrussi, A translation-independent role of oskar RNA in early Drosophila oogenesis. Development 133, 2827-2833 (2006). [Abstract] [Full Text]

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