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敗血症
Toll様受容体4の内因性エンハンサー

Sepsi
Endogenous Enhancers of Toll-Like Receptor 4

Editor's Choice

Sci. STKE, 18 September 2007 Vol. 2007, Issue 404, p. tw334
[DOI: 10.1126/stke.4042007tw334]

John F. Foley

Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : リポ多糖(LPS)は、敗血症や死を引き起こすす炎症応答の引き金となる細菌成分である。骨髄関連タンパク質8(Mrp8)とMrp14は互いに相互作用し、Mrp8を複合体の活性サブユニットとして、活性化された貪食細胞により分泌される。Voglらは、敗血症におけるこれらのタンパク質の役割を調べた。DNAマイクロアレイを用いて、野生型マウス由来のLPS処理した骨髄細胞(BMC)では、炎症誘発性分子をコードする多数の遺伝子の発現量がMrp14-/-マウス由来の細胞よりも高いことを突き止めた(Mrp8-/-マウスは胎生致死)。酵素免疫測定法により、LPSで処理したMrp14-/- BMCは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の分泌量がLPSで処理した野生型BMCよりも少ないことが明らかになった。組換えMrp8-Mrp14を添加すると、Mrp14-/- BMCのLPSに対する応答性が上昇した。ヒト上皮細胞における免疫蛍光法およびウエスタンブロット解析により、Mrp8がアダプタータンパク質である骨髄分化マーカー88(MyD88)の細胞膜への会合と、インターロイキン-1受容体(IL-1R)関連キナーゼ-1(IRAK-1)のリン酸化を促進することが示された。MyD88とIRAK-1はともにToll様受容体4(TLR4)のシグナル伝達に必要である。TLR4とそのコレセプターであるMD2とCD14をトランスフェクトしたHEK293細胞において行ったルシフェラーゼレポーターアッセイにより、Mrp8は転写因子である核因子κB(NFkB)の活性を促進することが明らかになった。表面プラズモン共鳴解析により、Mrp8がTLR4-MD2複合体に結合することが示された。LPSとガラクトサミン(マウスをLPSにより誘導されるTNF-αに感作する)をMrp14-/-マウスに投与すると、野生型マウスに同様の処理をした場合よりも影響が軽度であり、生存も良好であった。Mrp8をLPSおよびガラクトサミンで処理したMrp14-/-マウスに添加すると、LPSで処理した野生型マウスと同様の転帰が得られた。このように、LPSに応答するTLR4誘導性のTNF-α産生の内因性エンハンサーとしてのMrp8-Mrp14の役割は、敗血症の治療において新たな有力な治療標的を明らかにする。

T. Vogl, K. Tenbrock, S. Ludwig, N. Leukert, C. Ehrhardt, M. A. D. van Zoelen, W. Nacken, D. Foell, T. van der Poll, C. Sorg, J. Roth, Mrp8 and Mrp14 are endogenous activators of Toll-like receptor 4, promoting lethal, endotoxin-induced shock. Nat. Med. 13, 1042-1049 (2007). [PubMed]

J. F. Foley, Endogenous Enhancers of Toll-Like Receptor 4. Sci. STKE 2007, tw334 (2007).

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