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アポトーシス 私を見つけに来て

Apoptosis
Come and Find Me

Editor's Choice

Sci. Signal., 15 September 2009
Vol. 2, Issue 88, p. ec302
[DOI: 10.1126/scisignal.288ec302]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 多くの細胞がアポトーシスを受ける組織中に検出されるアポトーシス細胞が少ないことは細胞クリアランス機構の効率の高さを示している。アポトーシス細胞はマクロファージなどのスカベンジャー細胞にその存在を知らせる因子を放出すると考えられているが、これらのシグナルの性質は不明である(Gregoryのコメント参照)。Elliottらは、遊走アッセイにおいて、アポトーシスを誘導した胸腺細胞の上清は、生細胞の上清に比べて単球を多く動員することを示した。同様に、アポトーシス細胞の上清をマウスの皮下空気嚢に注入すると、生細胞の上清に比べてマクロファージの動員が多かった。ヌクレオシド三リン酸およびヌクレオシド二リン酸を加水分解するアピラーゼでアポトーシス細胞の上清を処理すると、空気嚢へのマクロファージ動員が阻害された。各種ヌクレオチドのうちATPおよびUTPはin vitro遊走アッセイにおいて単球動員効率が最も高く、いずれのヌクレオチドもアポトーシス誘導から2時間以内に細胞上清に検出された。アポトーシス誘導前にカスパーゼ阻害剤で細胞を処理すると、培地中へのATPおよびUTP放出が阻害された。ATPおよびUTPに対するGタンパク質共役受容体であるP2Y2が欠損したマウスの空気嚢にアポトーシス細胞の上清を投与すると、野生型(WT)マウスを用いた同様の実験よりもマクロファージの動員が少なかった。また、胸腺細胞のアポトーシスおよびクリアランスを誘発するデキサメタゾンで処理したP2Y2欠損マウスは、WTマウスに比べ、胸腺中のアポトーシス胸腺細胞がはるかに多く存在した。これらのデータから、アポトーシス胸腺細胞がその組織クリアランスに必要なマクロファージの動員を誘発するために放出する因子はATPおよびUTPであると考えられる。

M. R. Elliott, F. B. Chekeni, P. C. Trampont, E. R. Lazarowski, A. Kadl, S. F. Walk, D. Park, R. I. Woodson, M. Ostankovich, P. Sharma, J. J. Lysiak, T. K. Harden, N. Leitinger, K. S. Ravichandran, Nucleotides released by apoptotic cells act as a find-me signal to promote phagocytic clearance. Nature 461, 282-286 (2009). [PubMed]

C. Gregory, Sent by the scent of death. Nature 461, 181-182 (2009). [PubMed]

J. F. Foley, Come and Find Me. Sci. Signal. 2, ec302 (2009).

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