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自然免疫 
Toll 2インターフェロン産生

Innate Immunity
Toll 2 Interferon Production

Editor's Choice

Sci. Signal., 27 October 2009
Vol. 2, Issue 94, p. ec343
[DOI: 10.1126/scisignal.294ec343]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : Toll様受容体(TLR)が微生物の核酸、脂質、およびタンパク質を認識することによって、免疫反応が開始される。主要な抗ウイルス免疫反応は、I型インターフェロンの誘導であり、これは、TLR3、TLR7、およびTLR9といった、ウイルスの核酸を認識するTLRが活性化された後に起こると一般的に考えられている(BauernfeindおよびHornungを参照)。しかし、ウイルスのなかには、今までインターフェロン産生と関連付けられていなかったTLRであるTLR2を活性化させるタンパク質を産生するものもある。Barbalatらは、DNAウイルスワクシニアに反応した骨髄細胞によるI型インターフェロン(IFN)の産生には、TLR2が必要であるがTLR9は必要でないことを明らかにした。さらなる分析から、IFN-βおよびIFN-α4の産生はTLR2依存性であることが示された。TLR2およびTLR4を活性化させるリガンドに反応することができるが、TLR3、TLR7、またはTLR9を活性化させるリガンドには反応できない3dマウスは、ワクシニアウイルスに反応してインターフェロンを産生したが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG)には反応しなかったことから、核酸認識と無関係な、I型インターフェロン産生の別の誘因が実証された。IFN-βプロモーターの活性化により黄色蛍光タンパク質(YFP)が産生される、IFN-βレポーターマウス(MOBマウス)は、ワクシニアウイルスへの曝露後、骨髄および脾臓にYFP蛍光が観察されたが、CpGへの曝露後は蛍光がみられなかった。細胞表面マーカーの分析から、骨髄および脾臓のCD11b+細胞、より具体的には炎症性単球が、ワクシニアウイルスに反応したI型インターフェロン産生に関与していることが示唆された。ジフテリア毒素を注入し、炎症性単球を除去したCD11b-DTRマウスでは、溶媒を注入したマウスと比較して、I型インターフェロンの産生が低下し、ワクシニアウイルスのウイルス価が増大していた。TLR2が、ウイルス増殖に必要な融合装置など機能および構造が保存された特定のウイルスタンパク質を認識する可能性を、著者らは提案している。

R. Barbalat, L. Lau, R. M. Locksley, G. M. Barton, Toll-like receptor 2 on inflammatory monocytes induces type I interferon in response to viral but not bacterial ligands. Nat. Immunol. 10, 1200-1207 (2009). [PubMed]
F. Bauernfeind, V. Hornung, TLR2 joins the interferon gang. Nat. Immunol. 10, 1139-1141 (2009). [PubMed]

W. Wong, Toll 2 Interferon Production. Sci. Signal. 2, ec343 (2009).

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