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貪食
効率的な食事を確保する

Phagocytosis
Ensuring Efficient Eating

Editor's Choice

Sci. Signal., 17 November 2009
Vol. 2, Issue 97, p. ec366
[DOI: 10.1126/scisignal.297ec366]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : マクロファージの役割の1つは、アポトーシス細胞の貪食である。これが失敗すると、炎症が起こり、エリテマトーデスで発生するような自己免疫応答が誘発される可能性がある(Elkonの解説参照)。アポトーシスの際に、リン脂質は細胞膜の内葉と外葉の間でスクランブルされ、マクロファージによる貪食を誘発する「召し上がれ(eat-me)」シグナルを出す。Mukundanらは、アポトーシス細胞に対するマクロファージの応答において、脂肪酸を認識するペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)ファミリーのいくつかのメンバーの役割について検討した。アポトーシスを起こした胸腺細胞にマウスのマクロファージを曝露すると、PPAR-δのmRNAとタンパク質の量が増大した。in vitroでは、Ppard-/-マウスのマクロファージは、野生型(WT)マウスのマクロファージと比べて、アポトーシス細胞貪食の効率が低く、in vivoにおいては、注入されたアポトーシス細胞はPpard-/-マウスよりもWTマウスで迅速に処分された。PPAR-δは、標的細胞をオプソニン化(被覆)して貪食効率を高める補体成分-1qb(C1qb)などのタンパク質をコードする遺伝子の発現を誘発した。C1qbや他のオプソニンの濃度は、WTマウスの血清中よりもPpard-/-マウスの血清中で低かった。実際に、Ppard-/-マウスにに由来するマクロファージによるアポトーシス細胞貪食の欠損は、精製されたヒトC1qタンパク質によって回復した。Ppardがマクロファージ特異的に欠失したマウスでは、アポトーシス細胞貪食に異常が認められ、ループス様の自己免疫応答が発生した。総合すると、これらのデータは、マクロファージのPPAR-δが貪食されるアポトーシス細胞上のリン脂質を感知し、効率的な貪食を可能にして自己免疫応答を抑制するための転写プログラムを推進することを示唆する。

L. Mukundan, J. I. Odegaard, C. R. Morel, J. E. Heredia, J. W. Mwangi, R. R. Ricardo-Gonzalez, Y. P. S. Goh, A. Red Eagle, S. E. Dunn, J. U. H. Awakuni, K. D. Nguyen, L. Steinman, S. A. Michie, A. Chawla, PPAR-δ senses and orchestrates clearance of apoptotic cells to promote tolerance. Nat. Med. 15, 1266-1272 (2009). [PubMed]

K. B. Elkon, Autoimmunity: Apoptotic fats grease transcription. Nat. Med. 15, 1246-1248 (2009). [PubMed]

J. F. Foley, Ensuring Efficient Eating. Sci. Signal. 2, ec366 (2009).

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