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免疫学
T細胞におけるミトコンドリアの位置どり

Immunology
Mitochondrial Positioning in T Cells

Editor's Choice

Sci. Signal., 12 April 2011
Vol. 4, Issue 168, p. ec99
[DOI: 10.1126/scisignal.4168ec99]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

ミトコンドリアはアデノシン三リン酸(ATP)の形でエネルギーを産生し、細胞内Ca2+をバッファリングすることから、多くの細胞内過程の中心となっている。ミトコンドリアの機能は、ダイナミン様グアノシントリホスファターゼ(GTPase)が媒介する過程である融合と分裂の間のバランスを変えることによって、また細胞内でのミトコンドリアの位置どりによって調節を受ける(JunkerとHothの解説参照)。ニューロンや免疫細胞におけるシナプスへのミトコンドリアの動員は、この酔うなJ部位で起こる様々な過程を駆動するのに十分な局所濃度のATPを供給するために極めて重要である。Baixauliらは、抗原提示細胞やプレートに結合させた抗体によってin vitroで活性化したT細胞を用い、免疫シナプス近傍へのミトコンドリアの位置どりの調節について検討した。T細胞受容体(TCR)を刺激すると、免疫シナプスで表層の超分子複合体(pSMAC:中心TCRクラスター[cSMAC]を取り囲んでいる)の近傍へとミトコンドリアが動員された。T細胞刺激後のミトコンドリアに局在するミトコンドリア分裂因子Drp1を阻害またはノックダウンすると、TCR活性化に応答したpSMACへのミトコンドリアの移動が抑制された。Drp1をサイレンシングすると、cSMACでのTCRのクラスター形成も抑制され、これによってpSMACでのTCRミクロクラスターの数が増加した。Drp1がノックダウンされたT細胞では、ミトコンドリア膜電位とATP産生が障害され、同様に、cSMACにおけるTCRのクラスター形成に必要なミオシンの活性化も障害された。TCRがcSMACに達すると、TCRのシグナル伝達は抑制される。Drp1がサイレンシングされたT細胞では、対照細胞に比べてpSMACにおけるTCRクラスターの数が増え、TCRの下流のシグナル伝達が増強された。まとめると、これらのデータは、Drp1を介するミトコンドリアの位置どりの調節は、免疫シナプスの形成を制御し、TCRシグナル伝達の強度を調節することを示唆する。

F. Baixauli, N. B. Martin-Cofreces, G. Morlino, Y. R. Carrasco, C. Calabia-Linares, E. Veiga, J. M. Serrador, F. Sanchez-Madrid, The mitochondrial fission factor dynamin-related protein 1 modulates T-cell receptor signalling at the immune synapse. EMBO J30, 1238-1250 (2011). [PubMed]

C. Junker, M. Hoth, Immune synapses: Mitochondrial morphology matters. EMBO J30, 1187-1189 (2011). [PubMed]

J. F. Foley, Mitochondrial Positioning in T Cells. Sci. Signal. 4, ec99 (2011).

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2011年4月12日号

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