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方法論
活性化と内在化の分離

Methodology
Separation of Activation and Internalization

Editor's Choice

Sci. Signal., 3 May 2011
Vol. 4, Issue 171, p. ec122
[DOI: 10.1126/scisignal.4171ec122]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

チロシンキナーゼなどの細胞表面受容体の刺激および活性化には受容体のオリゴマー形成および内在化が必要である。個々の生体細胞の分析能がこれらの力学的特性を理解する鍵である。Swiftらは、共焦点画像から得られた蛍光強度のヒストグラムをフィッティングする空間強度分布解析(SpIDA)を用いて、各種Gタンパク質共役受容体によるトランス活性化後のチロシンキナーゼ、上皮成長因子受容体(EGFR)およびニューロトロフィン受容体TrkBの二量化および内在化を評価した。緑色蛍光タンパク質(GFP)標識EGFR(およびFLIM解析用mCherry標識)をトランスフェクトした細胞を用いて、SpIDAの結果と蛍光寿命イメージング顕微鏡法(FLIM)の結果を比較することにより、この手法をバリデートした。GFP-EGFRの輝度は、EGFに反応してまたはアンジオテンシン1a受容体(ATa1R)、β2アドレナリン受容体(β 2AR)、D1またはD2ドーパミン受容体(D1R、D2R)、ニューロキニン1受容体(NK-1R)の5種類のGPCRの活性化に反応して増加した。EGFの刺激は最大限の二量化をもたらした。細胞にコトランスフェクトされたGPCRの量が増加することにより、GPCRの量によって誘発された二量化が増加すると考えられ、GPCRの存在量がトランス活性化の制限因子であることが示唆される。予想に反し、D1R、D2RおよびNK-1Rはエンドサイトーシスのドミナントネガティブ阻害因子の発現によって阻害され得る二量化および内在化(表面からのシグナル喪失)を惹起し、一方、ATa1Rおよびβ2ARは内在化を伴うことなくEGFRの二量化を誘発した。この技法を内因性タンパク質に適用できることを検証するため、免疫蛍光分析によってTrkBが検出された線条体ニューロン培養物を用いて、D1RまたはD2Rによる内因性TrkBの活性化をモニタリングした。脳由来神経栄養因子(BDNF)によるTrkBの直接活性化およびドーパミン受容体刺激によるトランス活性化はTrkB二量化を示唆する蛍光増加として検出された。この技法は細胞表面受容体シグナル伝達の初期段階を検討する上で有用であるだけでなく、チロシンキナーゼのトランス活性化が常に内在化に至るわけではないことも明らかにした。これは、各種GPCR刺激に応じた選択的シグナル伝達にとって意味がある。

J. L. Swift, A. G. Godin, K. Dore, L. Freland, N. Bouchard, C. Nimmo, M. Sergeev, Y. De Koninck. P. W. Wiseman, J.-M. Beaulieu, Quantification of receptor tyrosine kinase transactivation through direct dimerization and surface density measurements in single cells. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 108, 7016-7021 (2011). [Abstract] [Full Text]

N. R. Gough, Separation of Activation and Internalization. Sci. Signal. 4, ec122 (2011).

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2011年5月3日号

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