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神経科学
ストレスフルな出来事を思い出す

Neuroscience
Remembering Stressful Events

Editor's Choice

Sci. Signal., 27 March 2012
Vol. 5, Issue 217, p. ec91
[DOI: 10.1126/scisignal.2003068]

Peter R. Stern

Science, AAAS, Cambridge CB2 1LQ, UK

N. Kaouane, Y. Porte, M. Vallée, L. Brayda-Bruno, N. Mons, L. Calandreau, A. Marighetto, P. V. Piazza, A. Desmedt, Glucocorticoids can induce PTSD-like memory impairments in mice. Science 335, 1510-1513 (2012). [Abstract] [Full Text]

情動的な出来事にまつわる状況は、中立的な出来事に伴う他の状況よりも思い出しやすい。しかし、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの深刻な病的状態では、脅威的な状況への暴露によって記憶障害が起こることがある。PTSDの場合に、心的外傷に関連する目立った手掛かりに対する記憶亢進は、心的外傷の重要な部分に対する記憶喪失と関連がある。心的外傷の核心となる出来事に対する記憶が亢進しても、この記憶を正しい場所に、かつ正しい手掛かりに応答して配置する能力は低下する。Kaouaneらは、マウスにおいて、PTSD様記憶障害を誘導する海馬へのコルチコステロン注入を極度の脅威と関連付けた。この動物は、脅威の正しい予測因子として脅威的な状況を判断することができなくなり、通常は安全と判断される顕著で明確な手掛かりに対して恐怖応答を示した。このようなマウスの扁桃体および海馬領域で見られる神経活動パターンは、ヒトのPTSDで見られるパターンと似ていた。

P. R. Stern, Remembering Stressful Events. Sci. Signal. 5, ec91 (2012).

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2012年3月27日号

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