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RNA
マイクロRNA含有小胞で血管新生促進のメッセージを送達する
RNA
Delivering a Proangiogenic Message in a MicroRNA-Containing Vesicle
Sci. Signal., 4 September 2012
Vol. 5, Issue 240, p. ec227
[DOI: 10.1126/scisignal.2003562]
Ernesto Andrianantoandro
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
G. Zhuang, X. Wu, Z. Jiang, I. Kasman, J. Yao, Y. Guan, J. Oeh, Z. Modrusan, C. Bais, D. Sampath, N. Ferrara, Tumour-secreted miR-9 promotes endothelial cell migration and angiogenesis by activating the JAK-STAT pathway. EMBO. J. 31, 3513-3523 (2012). [PubMed]
N. Halberg, C. Alarcón, S. F. Tavazoie, microRNA regulation of cancer-endothelial interactions: Vesicular microRNAs on the move.... EMBO J. 31, 3509-3510 (2012). [PubMed]
低分子非コードRNA(マイクロRNA)は、内皮細胞遊走と血管新生に関連がある。がん細胞内で作用すると、miR-126などのマイクロRNAは、がん細胞が内皮細胞を動員する能力を低下させることができ、それによってがん抑制因子として働く(Halbergらの論文参照)。しかし、Zhuangらは、他の腫瘍由来マイクロRNAの腫瘍促進活性について報告した。マイクロアレイと定量的PCRによって、いくつかの腫瘍細胞株の存在下で培養された正常組織の微小血管内皮細胞において、miR-9を含む多数のマイクロRNAの存在量の増加が明らかになったが、腫瘍細胞株の非存在下で培養された組織の微小血管内皮細胞ではそのような増加はみられなかった。著者らは、腫瘍培養上清にマイクロRNAを検出し、これらのマイクロRNAは微小胞(MV)によって運ばれるという仮説を立てた。腫瘍細胞株から単離されたMVは、内皮細胞内のマイクロRNA存在量を増加させ、内皮細胞は培地に添加された蛍光標識MVを取り込んだ。内皮細胞を腫瘍細胞培養上清で処理したり、内皮細胞にmiR-9を過剰発現させたりすると、細胞遊走と形態変化が促進された。内皮細胞内のmiR-9を拮抗性オリゴヌクレオチドによって阻害すると、腫瘍細胞由来のMVがin vitroで内皮細胞遊走を誘導する能力または発芽的血管新生を亢進させる能力が抑制された。担がんマウスの血漿中にmiR-9が検出され、miR-9に対する拮抗性オリゴヌクレオチドを腫瘍内注射すると、腫瘍の増殖が遅延し、腫瘍関連血管新生が低下した。抗体アレイ解析によって、miR-9を過剰発現している内皮細胞では、シグナル伝達性転写因子(STAT)1および3と、ヤヌスキナーゼ(JAK)1および2のリン酸化型の存在量が増加しているが、対照マイクロRNAを過剰発現している細胞ではそのような増加はみられないことが明らかになった。内皮細胞におけるmiR-9の過剰発現、あるいは腫瘍細胞から分離された培養上清またはMVによる細胞の処理によって、JAK-STAT経路の負の調節因子であるSOCS5の存在量が減少した。JAK2を薬理学的に阻害すると、miR-9を過剰発現する内皮細胞の遊走が低下した。このように、がん細胞は、遊走と血管新生を促進するシグナル伝達経路に影響を及ぼすマイクロRNAを含むMVを放出することによって、マイクロRNAをうまく利用して内皮細胞を動員することができる。
E. Andrianantoandro, Delivering a Proangiogenic Message in a MicroRNA-Containing Vesicle. Sci. Signal. 5, ec227 (2012).