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科学の酔っぱらいと街灯:がんの発見と治療に注がれる膨大な配列決定の努力

The Scientific Drunk and the Lamppost: Massive Sequencing Efforts in Cancer Discovery and Treatment

Perspectives

Sci. Signal., 2 April 2013
Vol. 6, Issue 269, p. pe13
[DOI: 10.1126/scisignal.2003684]

Michael B. Yaffe1,2*

1 Chief Scientific Editor, Science Signaling, American Association for the Advancement of Science, 1200 New York Avenue NW, Washington, DC 20005, USA.
2 Professor, David H. Koch Institute for Integrative Cancer Research, The Broad Institute, and Departments of Biology and Biological Engineering, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.

* Corresponding author. E-mail: myaffe@mit.edu

要約

ヒト腫瘍のゲノム配列決定につぎ込まれる膨大な資金により、がん生物学の世界にとって重要なデータセットが生み出されている。しかし逆説的なことに、これらの研究によって、新たな生物学はほとんど明らかにされていない。にもかかわらず、米国では、さらなる資金をつぎ込み、そのような研究を継続し、ゲノム配列決定の同様の取り組みをマウス腫瘍に拡大する予定である。科学者たちは、比較的容易に得られる大量データの「中毒」になっているのかもしれない。そのようなデータだけで、がんの新たな治療選択肢が明らかになる可能性は低く、究極の目標であるがんの治癒がもたらされることはなさそうであるにもかかわらず、依存しているのではないだろうか。新たな治療選択肢を特定するためのよりよい戦略は、さらに多くの腫瘍の遺伝子配列を用いることではなく、がんの発生、進行、治療抵抗性の基礎にあるシグナル伝達ネットワークを、個人レベルとシステム全体の両方で解析する方法を開発することであると考えられる。

M. B. Yaffe, The Scientific Drunk and the Lamppost: Massive Sequencing Efforts in Cancer Discovery and Treatment. Sci. Signal. 6, pe13 (2013).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

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