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マスト細胞活性化におけるプロヒビチンの役割:位置が重要

A Role for Prohibitin in Mast Cell Activation: Location Matters

Perspectives

Sci. Signal., 10 September 2013
Vol. 6, Issue 292, p. pe29
[DOI: 10.1126/scisignal.2004646]

Hajime Yurugi1 and Krishnaraj Rajalingam2*

1 Department of Molecular Biosciences, Faculty of Life Sciences, Kyoto Sangyo University, Kamigamo-Motoyama, Kitaku, Kyoto 603-8555, Japan.
2 Cell Death Signaling Group, Institute of Biochemistry II, Goethe University Medical School, Goethe University, Theodor Stern Kai 7, 60590 Frankfurt, Germany.

* Corresponding author. E-mail: krishna@biochem2.de

要約

プロヒビチン1(PHB1)およびPHB2は、進化的に保存された、広範に発現する多面的タンパク質であり、増殖や遊走、代謝、細胞死などの種々の基本的な細胞過程を制御する。腫瘍の転移、ウイルス侵入、免疫細胞活性化の調節に細胞膜結合PHBが果たすきわめて重要な役割が、研究によって明らかにされている。今回ある研究により、免疫グロブリンE(IgE)を介するマスト細胞活性化とアレルギー反応における、PHB1の役割が同定された。PHB1は主にマスト細胞の顆粒に局在した。しかし、抗原による刺激に反応して、PHB1は細胞膜脂質ラフトに移動し、高親和性IgE受容体FcεRIγおよび非受容体チロシンキナーゼSykと三元複合体を形成した。Sykが活性化され、それにより下流のシグナル伝達が活性化されて、マスト細胞の脱顆粒とサイトカインの分泌が刺激された。PHB1は、SrcファミリーチロシンキナーゼLynによってリン酸化され、細胞膜と結合するためにはパルミトイル化される必要があった。これらの観察結果によって、プロヒビチンの生物学についてこれまで不明であった一面が明らかになり、アレルギー反応時のマスト細胞においてIgEによるFcεRI活性化を推進する近位事象がさらに解明されている。

H. Yurugi, K. Rajalingam, A Role for Prohibitin in Mast Cell Activation: Location Matters. Sci. Signal. 6, pe29 (2013).

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