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謎のGPCRが刺激薬を発見する
Enigmatic GPCR Finds a Stimulating Drug
Sci. Signal., 22 October 2013
Vol. 6, Issue 298, p. pe34
[DOI: 10.1126/scisignal.2004755]
T. Kendall Harden*
Department of Pharmacology, University of North Carolina School of Medicine, Chapel Hill, NC 27599, USA.
* Corresponding author. E-mail: tkh@med.unc.edu
要約:GPR17は、中枢神経系におけるオリゴデンドロサイトの分化および髄鞘形成の調整に関与するオーファンGタンパク質共役受容体である。今週号のScience Signalingでは、Hennenらが、シグナル伝達経路のバイアスのないスクリーニングを用い、この受容体の2つの低分子アクチベーターを同定した。これらのうちの1つMDL29951については検討が進み、組換えGPR17を発現する細胞株において、Gαi-およびGαq-が促進するシグナル伝達経路のGPR17依存性活性化が例示されたが、この受容体の過去に提唱されたが疑わしいアゴニスト(ウラシルヌクレオチドおよびシステイニルロイコトリエン)について影響は認められなかった。反対に、MDL29951は、既知のウラシルまたはアデニンヌクレオチド活性化P2Y受容体あるいはシステイニルロイコトリエン受容体をいずれも活性化しなかった。Gαi-およびGαq-依存性シグナル伝達応答はまた、MDL29951の存在下において、初代ラットオリゴデンドロサイトで観察された。さらに、MDL29951は、GPR17ヘテロ接合体マウスから単離された初代オリゴデンドロサイトにおける髄鞘形成を減少させたが、GPR17ノックアウトマウスに由来するオリゴデンドロサイトにおける髄鞘形成には影響を与えなかった。オリゴデンドロサイトの分化中に低分子GPR17アゴニストの影響が認められたことから、GPR17のアンタゴニストの開発が、脱髄疾患において薬物療法を作り出すための合理的な目標であるという考えが支持される。
T. K. Harden, Enigmatic GPCR Finds a Stimulating Drug. Sci. Signal. 6, pe34 (2013)