• ホーム
  • デザイナー「サイトカイン拮抗薬」でRANKを出し抜く

デザイナー「サイトカイン拮抗薬」でRANKを出し抜く

Outflanking RANK with a Designer Antagonist Cytokine

Perspectives

Sci. Signal., 19 August 2014
Vol. 7, Issue 339, p. pe20
DOI: 10.1126/scisignal.2005674

Chih-Wen Ou-Yang and Richard M. Siegel*

Immunoregulation Section, Autoimmunity Branch, National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

* Corresponding author. E-mail: rsiegel@nih.gov

サイトカインの腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーメンバーは、非共有結合による三量体である。このファミリーメンバーは免疫系を調節する上で重要な役割を果たし、様々なリウマチ性疾患および自己免疫疾患に対する治療標的として用いられるようになり、成功を収めている。従来、TNFファミリーのサイトカインによるシグナル伝達を遮断するためには、サイトカインまたは受容体‐Fc融合タンパク質に対する抗体が用いられてきた。本号のScience Signalingにおいて、Warrenらは、TNFスーパーファミリーメンバーRANKL[核因子κB活性化受容体(RANK)リガンド]の作用を遮断する新たな手法を紹介している。RANKLはその破骨細胞上の受容体であるRANKの刺激を介した骨回転調節において重要な役割を果たしている。著者らは、3つのRANKLサブユニットを単一鎖に融合したタンパク質から、定方向突然変異誘発を用いて、RANKとの親和性が高まった2つの「スーパーアゴニスト」サブユニットと非受容体結合サブユニットが融合した三量体を作製した。この分子は、in vitroおよびin vivoで、野生型RANKLの破骨細胞形成活性に拮抗したことから、RANKシグナリング伝達に関する洞察および他のTNFファミリーサイトカイン拮抗薬の開発パラダイムが示された。

C. Ou-Yang and R. M. Siegel, Outflanking RANK with a Designer Antagonist Cytokine. Sci. Signal. 7, pe20 (2014).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2014年8月19日号

Editor's Choice

宿主病原体相互作用
エボラが抗ウイルスシグナル伝達を遮断する方法

Research Article

ErbB4 CYT2バリアントはEGFRをリガンド誘導性の分解から保護してがん細胞の運動を促進する

休止B細胞の細胞内小胞におけるアダプターSLP-65の高分子集合

TNFスーパーファミリーメンバーによるシグナル伝達阻害の1戦略としての受容体オリゴマー形成の操作

Perspectives

デザイナー「サイトカイン拮抗薬」でRANKを出し抜く

最新のPerspectives記事

2017年7月4日号

発見から25年強が過ぎたAKTに関する展望

2016年10月18日号

WNKキナーゼに固有の構造的特徴を活用して治療的阻害を達成する

2016年4月26日号

Ca2+透過性AMPA受容体、キナーゼPKAおよびホスファターゼPP2BはシナプスのLTPおよびLTDにおいてどのような結び付きがあるか

2016年4月5日号

IP3受容体:4つのIP3でチャネルを開く

2015年11月3日号

発がん性PI3Kαが乳房上皮細胞の多能性を促進する